まちに還すコミュニケーション

場のチカラ プロジェクト|Camp as a participartory mode of learning.

桜丘フィールドワーク(2)

Day 2: ひとりで歩く

2018年8月6日(月)10:00〜(桜丘町+文化総合センター大和田)

🌞2日目。きょうも暑い!「雨が降って、少しは涼しくなりそうだ」という、昨晩の予報は、いったいどこへ。昨日と変わらぬ暑さ。予定どおり全員が集合して、オリエンテーションののち、まちに散った。今回のプロジェクトでは、桜丘町を対象に「風俗採集」をおこなうことになっている。「風俗採集」は、マンホール、階段、「すき間」など、もっぱら〈モノ〉の観察をとおしてまちの理解を試みるやり方だ。人との直接的なかかわりを持たなくても、さまざまな〈モノ〉には、人びとの想いや行動が表れている。人びとのいとなみの所産を、ささやかな〈モノ〉から読みとるセンスを育んでおくことは、とても大切だ。やがて、まちは、ちがって見えてくる。「風俗採集」については、(いつものように)スケッチとテキストで編集して、冊子をつくる予定だ。

午前中は、一人ひとりが「風俗採集」を考えつつ、テーマに即してまちを歩くことにした。このプロジェクトを企画したときには、午前中ならまだそれほどでもないだろうと思っていたが、すでに暑い。スケジュールでは、まち歩きに2時間ほどを充てているが、休みながらじゃないと身体がもたない。

https://www.instagram.com/p/BmHpxnmhama/

手前には瓦屋根、向こうに巨大なビル。 #sakuragaokap

https://www.instagram.com/p/BmHrazzhwBh/

やがて消えてしまうのか。 #sakuragaokap

https://www.instagram.com/p/BmHzlIKBE3d/

グラフィティは、「空き」のしるし? #sakuragaokap


ぼくも、少し歩いてみることにした。昨日、桜丘町の外周を巡ったときに、線路沿いの辺りが気になった。というのも、駅にほど近いエリアは、立ち呑みもお粥もピザも、そして歯医者も、個人的には、たびたび足をはこんでいるからだ。しばらく前までは、ドラッグストアもあった。昨日歩いてみて、テナントが去って「空き」の状態になっている(ように見える)ビルが多いことに気づいた。線路沿いのビルは、グラフィティで彩られていた。グラフィティは、「空き」のしるしなのかもしれない。

2014年の段階で公表されている「渋谷駅桜丘口地区再開発計画」の文書を見ると(その後、もちろん変更・修正などあったと思うが)、かなり大がかりな再開発計画だということがわかる。このあたりの細い道は、いくつもの店とともに姿を消すのだ。そう思ったとたんに、なんだか急に愛おしくなって、この辺りをうろうろしながら、しばらく過ごした。

昨日、線路側と246側からだと、桜丘のまちが見えないように、まるで「壁」のようだと書いた。図面やパースを眺めると、その見立てはさほどまちがっていないように思えてきた。なるほど、たしかに「壁」のようだ。線路沿いには高層の「壁」ができる。246側には、すでに塔(セルリアンタワー)がある。「城塞都市」に見立てるとなると、城はインフォス塔の辺りということになるのだろうか。なんとも不思議な感じがする。スケール感のちがいに戸惑いもある。桜丘町は、大きな「壁」によって守られるという見方もできるが、逆に、「壁」によって「渋谷」(渋谷駅西口方面、さらにはハチ公口方面)が隠されてしまうとも言える。どういう立場で、どちら側にいるかによって、「壁」の意味は揺らぐ。

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出典: http://www.tokyu-fudosan-hd.co.jp/news/pdf/217 (2014年6月)


さらに、この図面には「補助第18号線」という道路の計画も載っている。これについては、知らなかった。いまある道筋が引き直されるらしい。ますます、この「壁」の辺りを歩いてみたくなった。

ランチは、なおが予約してくれたイタリアンの店で。木曜日あたりに台風が接近するというニュースが、壁に映し出されているのを眺めていた。ランチを食べてから、ふたたび文化センターに戻って、午前中のまち歩きのようすを順番に発表した。いろいろ、面白そうな観点があった(秋学期につながるかもしれない)。まずは、それぞれの五感を駆使して桜丘町をとらえ、それを素直にまとめてみる。その過程で、一人ひとりの「個性」を映す、それぞれの桜丘が見えてくるだろう。

明日は、2人ひと組で歩くことになっている。その成果は、折り本にまとめるつもり。ひさびさの折り本づくりだが、やはり「(なるべく)宿題は持ち帰らない」というやり方は、日頃からトレーニングしておきたい。(とくに大きな問題がなければ)明日の夕方には、4冊(4種類)の折り本が完成しているはずだ。🐸(つづく)

桜丘フィールドワーク(1)

Day 1: はじまり

2018年8月5日(日)14:00〜(桜丘町+マリブ)

🌞第1日目。きょうも暑い。全員が揃ったので、まずは「渋谷の地図」を描いてもらうことにした。認知地図(メンタルマップ)についてはさまざまな研究があるが、プロジェクトをはじめるにあたって、学生たちの頭のなかに、どのような地図があるのかを記録しておこう。

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それぞれのメンタルマップについては、その場で回収したただけ。家に戻ってからスキャンしてみた。これについては、2日目以降に議論するつもりだが、やはりスクランブル交差点の存在が大きいのだろうか。ランドマークなどについても、あれこれと考えてみようと思う。なにより、(今回のプロジェクトが「桜丘フィールドワーク」であるにもかかわらず)「桜丘町」はみんなのメンタルマップには(ほとんど)描かれることがなかった。これは、ある程度は想像していた。かねてから思っていたが、「桜丘町」は、良くも悪くも、「渋谷」から少し切り離された存在なのかもしれない。

その上で、グールドの本*1のなかから、図版を何枚か紹介した。今回のプロジェクトでは、「桜丘的」なものへとみんなの意見やイメージを集約するというよりは、一人ひとりの「●●的な桜丘」を表現することを考えてみるつもりだ。以下、きょう(5日)の朝、気ままにつぶやいたメモ(一部改変):

  • 「●●的な」と言うとき、●●は、一人ひとりの生活者(あるいはグループ)だ。つまり、じぶん(たち)の個性で、〈モノ・コト〉をとらえるということ。だから、秋学期に桜丘町を対象に歩き回るときも、求めているのは「桜丘的」ではなく、「的な桜丘」だということになる。これ、大事。
  • まちづくりや地域活性に関わる試みの多くは、「桜丘的な」を求めようとする。つまり、多くの人びとにとっての「桜丘」を描こうとする。それに対して、一人ひとりにとってことなる「桜丘」が偏在すること、ときにはそれが反発し合っているかもしれないことを際立たせるのが「的な桜丘」。
  • あくまでも、人びとのかかわり、コミュニケーションのありようを際立たせる問いの立て方を志向する。(このあたりについては、もう少し整理が必要。)

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外は暑そうなので(まさにピークの時間?)、部屋から出るのがためらわれるものの(クーラーのきいた部屋でおとなしくしていたい)、地図を準備してから外へ。みんなで「桜丘町」の外周(およそ1.7km)を歩いてみた。まずは、フィールドワークの対象となる「桜丘町」のサイズを感じとるためだ。
坂を下って線路沿いの道を、246にぶつかるまで歩く。駅に近づくにつれて、落書きが目立つようになる。界隈の再開発のプロジェクトが動き出すのに先だって、店舗などの移転がすすんでいるようだ。テナントのいないビルは、たくさんのグラフィティで彩られているということか。左折して、246沿いに坂を上る。

 

南平台の交差点を左に曲がってゆるやかなカーブの道を下る。外周を歩いているだけで、なんとなく、このあたりの起伏がわかってくる。もう一度左折して、鶯谷町との境界に沿って歩く。一周するのに、だいたい1時間弱くらいだろうか。あまりにも暑かったせいか、ほとんど写真を撮らなかった。(明日はちゃんと撮る)

ふと、5年ほど前に諏訪さんと一緒にかむろ坂(不動前)界隈を歩いたときのことを思い出した。山手通り沿いには、立派な(比較的あたらしい)建物が並んでいるが、ひと筋内側(目黒川のほう)に入ると、住宅や比較的古そうなビルやアパートが並んでいた。山手通りからは、それが見えなくなっている。

「桜丘町」も、同じように、線路沿いと246沿いには大きな(新しい)ビルが建っている。だから、駅のホーム(あるいは電車から)から「桜丘」と向き合うとき、あるいは246沿いに移動しながら「桜丘」を見るとき、〈向こう側〉について視覚的な手がかりがない。そもそも、線路と246が境界として横たわっているが、〈向こう側〉が見えないことで、なおさら足が遠のくのだろう。ちょうどそれは、城壁のように「桜丘町」を守っているのかもしれない。そして、ひとたびその「壁」の内側に入ってしまえば、喧噪から逃れて、むしろ「渋谷」であることを主張せずにいられる場所なのかもしれない。

ちょっと早めに切り上げて、「タイ料理研究所」へ。🐸(つづく)
 

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都市のイメージ 新装版都市のイメージ 新装版
 
頭の中の地図―メンタルマップ (1981年)

頭の中の地図―メンタルマップ (1981年)

 

*1:グールド, P. ・ホワイト, R.(1981)『メンタルマップ:頭の中の地図』朝倉書店

exploring the power of place - 023

【本日発行】️🍉暑い日がつづいていて、早くも夏バテ気味です。先日、「研究会(ゼミ)」のほうは、無事に今学期の最終回をむかえました。あともうひと息、成果をまとめる作業が残っています。涼しい部屋で、加藤研のウェブマガジン “exploring the power of place” をどうぞ。
今回(2018年7月20日号)のお題は「ゆらゆら」です。→ https://medium.com/exploring-the-power-of-place/tagged/023

◎ 第23号(2018年7月20日号):ゆらゆら
  • 行きたい場所(小島信一郎)
  • 交差点にて(塙佳憲)
  • ゆるりゆらり(松室雄大)
  • 少なくとも、わたしは。(小梶直)
  • 一瞬という時間(比留川路乃)
  • またな(和田悠佑)
  • 大学4年生の葛藤(吉澤茉里奈)
  • いずれ来る日(加藤文俊)
  • ゆれうごく自分(保浦眞莉子)
  • 「ちがい」(大橋香奈)

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桜丘フィールドワーク

2018年夏季休校期間中実施「特別研究プロジェクトB」

特別研究プロジェクトB
コミュニティリサーチのデザインと実践(2018)

再開発の波が押し寄せてくる前に、桜丘町(東京都渋谷区)を歩いておくことにしました。外周およそ1.6㎞、「…丁目」の設定がない町です。短期集中型のプロジェクトですが、短期集中的に界隈のいろいろな店にも行ってみようと思います。

本研究プロジェクト(特別研究プロジェクトB)は、地域コミュニティの調査方法のデザインおよび実践について、フィールドワークやワークショップをとおして学ぶものです。具体的には桜丘町(東京都渋谷区)を対象地とするフィールドワークをおこない、まちを定性的に理解するための方法や態度について学びます。
まず桜丘町エリアを概観し、個人によるフィールドワークをもとにいくつかのテーマを抽出し、グループによる調査をデザイン・実施する予定です。8月9日(4日目)までに収集したデータは、各自が整理・編集し、9月21日(5日目)までに成果物をまとめます。

本プロジェクトでは、フィールドワークを活動の中心に据えていますが、全体の学習プログラムは「モバイル・メソッド(http://mobile-methods.net/)」(大学院プロジェクト科目)との接続を意識しながら設計を試みています。たとえば、Büscher、Urry、Witchgerら(2011)が提案する「モバイル・メソッド」の視座や「ロケーティブ・メディア(locative media)」研究(たとえばWilken & Goggin, 2014)の動向をふまえて、人、モノ、情報、アイデア等の「移動」に関わる調査・研究と、デザインリサーチやソーシャルファブリケーション領域との関連づけるものです。
参加条件・その他については大学のオフィシャルサイトにある「特別研究PJ」のページ(https://vu.sfc.keio.ac.jp/sp_project/index.cgi?mode=2)を参照。

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受入予定人数 10名程度

履修条件 原則としてこれまでに加藤が担当する「研究会」で1学期以上活動していること(2018年度秋学期から新規履修希望/予定の学生については要相談)

 

スケジュール

8月5日(日)渋谷(桜丘町)

  • 14:00〜16:00 イントロダクション:フィールドワークの方法と態度、プロジェクトの構成・スケジュールの確認
  • 16:00〜18:00 フィールドワーク(1):全員で歩く(スケールの共有・フィールドへのエントリー

8月6日(月)渋谷(桜丘町)

  • 10:00-12:00 フィールドワーク(2):一人で歩く(テーマの発見)、考現学的フィールドワークと風俗採集
  • 13:00-15:30 レビュー:フィールドワークのレビュー、テーマの抽出・グループ分け、ディスカッション

8月7日(火)渋谷(桜丘町)

  • 10:00-12:00 フィールドワーク(3):グループで歩く
  • 13:00-15:30 レビュー:フィールドワークのレビュー、ディスカッション

8月9日(木)SFC

  • 10:00-12:00 データの整理:フィールドワークで収集したデータの整理・マッピング、資料検索・ブックマークの作成
  • 13:00-16:00 まとめ(中間):4日間のふり返り、9月までの課題整理(作業分担など)

9月21日(金)SFC

  • 10:00-12:00 成果の公開:作業の進捗報告、調査のデザイン、成果の公開
  • 13:00-16:00 まとめ:「的な桜丘」に向けて、まとめと講評