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まちに還すコミュニケーション

場のチカラ プロジェクト|Camp as a participartory mode of learning.

電車にゆられて、まちを想う。(函館編)(2007)

函館フィールドワーク|2007年9月29日(土)〜30日(日)北海道函館市

中吊りギャラリー|2007年11月19日(月)〜12月2日(日)函館市電530号

 

函館を歩く

フィールドワークは、いつでも「出会い」に満ちています。ここ数年は、「つながり」から生まれた「つながり」をたどって、各地を訪れています。3年前の柴又(東京都)からはじまり、金沢(石川県)、坂出(香川県)へと赴き、こんどは函館(北海道)です。2007年9月29日(土)〜30日(日)にかけて、函館の市電沿線でフィールドワークをおこないました。

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近年、クルマでの移動が多くなり、函館に暮らす人びとは、さほど市電を利用しなくなったと聞きます。それでも、「よそ者」から見れば、市電は、函館のまちのイメージをつくりだしている重要なエレメントだと言えるでしょう。1泊2日というかぎられた時間でしたが、「市電から見える」あるいは「市電が見える」 というキーワードで、各自が函館のまちを歩きました。


人と語らう

ただまちを歩くだけでは、面白くありません。旅先で、人と出会うことこそが、フィールドワークの本質です。
今回は、縁あって、npo-koboの活動と連係しながらフィールドワークを実施しました。9月29日(土)の晩は、「旅・出会い・おみやげ——マチをめぐる経験のデザイン」と題したトークライブでぼくたちの活動について話をする機会があり、じっさいに函館の人びとと話をする場が生まれました。 18:00〜20:30という長丁場でしたが、とても充実した時間でした。いつも思うのは、一連の“フィールドワークの旅”は、よき理解のおかげで実現するということです。

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今回も、トークライブはもちろんのこと、そのあと、みんなで居酒屋に行って、あれこれと話をする機会があったのは、とてもよかったと思います。ちょっとしたことのように思えますが、「ガイドブック」ではかなわない経験です。ぼくたち「よそ者」と、函館の人びとをくらべると、まちに対するイメージや理解は、当然ちがっているはずです。そもそも「どちらが正しいか」を問うような性質のことでもありません。わかり合うとか、認識のギャップを埋めるとか、そういうためでもなく、ふだんではありえない時間・場所で、知り合ったばかりの人たちと、しばし語らう…。それがあるから、この活動を続けてゆけるのかもしれません。

 

地域メディアをデザインする

ここ数年で、「ちいさなメディア論」(2001〜2002 年)や「学習環境とコミュニケーション」(2001〜2002年)で扱ってきたテーマやアプローチが、“コミュニティの調査と地域メディアのデザイン”というかたちで整理され、プロジェクトとして実施できるようになってきました。

冊子やポストカード、中吊り広告、ゲームなど、まとめかたはさまざまですが、いずれも、地域のあたらしい理解を創造し(発見・再発見し)、関係形成やコミュニケーションの促進に役立つ「ちいさなメディア」です。フィールドへのアクセスの問題から、作成された「ちいさなメディア」の公開・流通までの「しかた」をデザインすることが、ぼくたちのテーマです。

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制作の途中で、プロの意見やアドバイスを聞き、中吊り広告を仕上げました。通常、フィールド調査の成果は、報告書やプレゼンテーションという形で公開されることが多いのですが、今回は、地域の人びとにより近いかたちで公開するために、電車を「移動ギャラリー」に見立てました。いつもの電車にゆられながら、 ふとじぶんの暮らしているまちを想う。そのきっかけづくりになることを期待しています。

 

おきみやげ

最近は、「おみやげ」と「おきみやげ」について考えています。「おみやげ」は、旅先などで、持ち帰る(あるいは人に贈る)ために、その土地で手に入れま す。記念写真は、その地に足をはこんだという記録になって、その経験を家族や友だちと共有することができます。キーホルダーやペナントを集めていけば、じぶんの旅の足跡を積み重ねてゆくことができるはずです。そして、お菓子のたぐいは、場所の経験を舌に覚えさせてくれます。

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ぼくたちは、いつも「おみやげ」のことを気にしがちですが、さらに考えてみたいのは、「おきみやげ」です。つまりは、旅先に「何か」を置いて帰るということです。その場で「何か」をつくって、文字どおり置いて帰るのは容易ではありませんが、その場合でも、「おきみやげ」という発想は重要でしょう。たとえば、これまでに調査の結果をまとめてポストカードを作成した場合には、あとからかならず調査した地域(コミュニティ)に成果物を送り、活用してもらえるようにしてきました。「中吊りギャラリー」も、ひとつの「おきみやげ」のかたちとして理解することができます。少しでも、ぼくたちの経験をまちに「還す」のです。*1

*1:この記事は、http://vanotica.net/hakop1/ をもとに加筆・修正したものです。ほぼ原文のまま。