まちに還すコミュニケーション

場のチカラ プロジェクト|Camp as a participartory mode of learning.

Day 1: 美波町へ 🐢

2024年5月24日(金)

5:30くらいに起床。海は穏やかだ。さっそく浴場へ。朝早いからか、誰もいない。フェリーで(つまり洋上で)湯船に浸かるのは、なかなかいい(しかも今朝は独り占めだ)。肩まで浸かると、目の前の窓の外には大海原。そして、景色が動いている。船の揺れもあるから、浴槽のお湯も波打っている感じで面白い。少しずつ、晴れてきそうな空だ。

そして朝食。このフェリーにはレストランがない。そのかわり「オーシャンプラザ」というエリアがあって、自動販売機がずらりと並んでいる。2年前に乗ったときにも驚いたが、フェリーに乗っている間は、自動販売機と電子レンジと給湯器に頼ることになる。なかには、ふだんはあまり見ることのないレトルト食品(冷凍食品)もある。とんでもなく美味しいということもないが、迷うくらいの数のメニューが並んでいるし、いちいち両替をして(現金しか使えない)、まちがえないように慎重にボタンを押す感じは、わりと楽しい。そして、行儀よく電子レンジの列に並ぶ。朝食はコーヒーとパンで簡単に済ませた。

この自販機コーナー(オーシャンプラザ)は、どうやら「フェリー飯」としてテレビで紹介されたようで、派手なポップで覆われていた(こんなにカラフルだったっけ…と思って2年前に書いたブログを見たら、何の飾りもない自販機だった)。やはり食べることは大事なわけで、この自動販売機の周りには人がたくさんいる。電波もないし、船に揺られているあいだは、のんびり身を任せておくしかない。みんな、飲んだり食べたり(眠ったり)しながら過ごしている。右舷には、ずっと陸が見えている。おそらくは和歌山県沖だ、と遠くを眺めながら、数年前に串本に行ったことを思い出した。
とりあえず15巻ほど(全33巻のうち)船内に持ち込んだ『団地ともお』は、ほとんど読めなかった。いま、団地の調査をすすめているので、書籍や論文だけではなく、団地が舞台になっている映画や漫画などを読んでいる。船の18時間でたくさん読もうと思っていたが、2巻まででストップ。全巻読み終えるには、もうしばらく時間がかかりそう。

ほぼ定刻どおり(13:20ごろ)徳島港に到着。そこから美波町を目指す。道はすいていて、途中からは3月の下見のときに運転した道(そのときはレンタカー)だったので、ちょっと懐かしいような、「ただいま」のような気持ちでドライブした。15:00前には日和佐駅に着いた。ちょうど、徳島駅から到着した学生たちに出くわしたので、一緒に谷屋(たんにゃ)まで歩いた。
谷屋は、由緒ある旧廻船問屋で、いまはその一部が「地ビール地域活性化プロジェクト事業」の拠点として、整備がすすめられている。今回は、ご縁があって、谷屋を作業スペースに使わせていただけることになった。地ビールの事業は秋くらいに本格稼働とのことだが、すでに準備はすすんでいて、醸造用のタンクがあったり、土間には冷蔵ショーケースや冷凍庫が置かれていたり、ビール瓶が並びはじめたら、ここが楽しい場所になることはまちがいない。

16:30に谷屋に集まったのは、参加メンバーの半数くらい。一人ひとりが、それぞれの都合と経路で美波町までやって来た。大まかに土・日の流れを確認をして、そのあとは、それぞれでまちに散って夕食。あらかじめ、いくつかオススメの店を聞いておいた。まだ到着していない学生もいるが、実質的には明日の朝から動くので、こんな感じでいいのだろう。まだ明るいうちから食事をして(ぼくたちは、開店と同時に店に入った)、少しゆっくりと過ごして、これからの2日間のための鋭気を養うということだ。1軒目は、下見に来たときにランチを食べた店へ。そして、2軒目へ。しめは、醤油ラーメン。

ひわさ屋 - 日和佐/日本料理 | 食べログ

平和園 - 日和佐/居酒屋 | 食べログ

Day 0: 月夜にはじまる 🐢

2024年5月23日(木)

出発の日というのは、朝からそわそわする。荷物をまとめて、忘れ物がないかチェックする。19:00出航なので、時間には余裕があるはずなのに、焦りと、それ以上に高揚感があって、結局、家を出る間際までドタバタしていた。クルマがあると思うと、つい荷物が多くなってしまうのだ。

2度目の「フェリー どうご」である。2年前の夏、土佐町(高知県)で高校生向けのワークショップをひらくことになり(→ キャンプ土佐)、そのときもフェリーで徳島に向かった。当時はまだ新型コロナウィルス感染症の影響下にあって(いまでも、もちろん注意は必要だが)、対面でワークショップを実施するにあたっては、気を遣うことが多かった。ましてや高校生たちを「お預かりする」立場なのだから、なおさらのことだ。思えば、みんなマスクをして、食事の時間には黙って食べていた。
フェリーで出かけた理由は、大判プリンターをはこぶためだった。少しずつ移動が許されるようになり、ずっと続いていた「ステイホーム」の窮屈さへの反動もあったと思う。わざわざフェリーに乗って遠くまでプリンターをはこぶなんて、と思いつつ、高校生たちと一緒にポスターづくりのワークショップをするのだから、大判プリンターでいつものようにA1サイズで出力したい。そう思った。現場にプリンターがないなら、はこべばいいのだ。
大好きな映画『顔たち、ところどころ』(2017)のように、行った先々で大きく印刷するのは楽しい(2年前にも同じようなことを書いた)。その後、仙台や浜松でのワークショップのさいにも、プリンターを載せて出かけた(大判プリンターは、ポータブル電源で問題なく動かせることもわかった)。

2024年になって、ずいぶん自由に動けるようになった。いろいろなことが、少しずつ、5年前のころに戻りつつある。今回は、徳島県の美波町(日和佐)で、ポスターづくりのワークショップ(キャンプ)をおこなうことになり(→ 美波キャンプ)、いろいろ考えて、クルマで(フェリーで)移動することにした。まず、12年間乗ったクルマ(170,000キロ走った)を手放して、あたらしいクルマに買い換えたので、とにかくクルマに乗りたい(納車直後あるある)。そして、しばらく休んでいた「カレーキャラバン」も「カリーキャラバン」として、あらたに活動をはじめたばかりだ(旅先で調理するのはひさしぶり)。さらに、今学期はサバティカル(特別研究期間)をいただいているので、ずいぶん気楽だ。この状況なので(三拍子そろったような?)、クルマには大判印刷のできるプリンターと、カレーのスパイスと調理器具一式を載せて出かけることにした。もはや飛行機で身軽に、というわけにはいかない。

船のスピードはいい。有明港を出ると、徳島港までおよそ18時間。のんびりと揺られながら過ごす。19時。定刻どおりに出航した。デッキに上がると、とても美しい夕空だった。原稿の続きを書くつもりだったが、あの夕陽を見たので、ビールにした。日付が変わるころには電波が届かなくなる(2年前に体験済み)。
電波がなくなると、切断された気持ちよさのようなものがあって、あとは、月に照らされる静かな海をぼんやりと眺めるだけだ。海は穏やかで、船は大きくは揺れない。横になると、小刻みな振動が背中から伝わってきて、眠りに誘われる。

美波キャンプ(ポスター)

ポスターをつくる

(2024年5月22日)ページを公開。26日(日)の成果報告のあとで更新します。

(2024年5月26日)今回は、9名のかたがたにインタビューをおこない、ひと晩でポスターをつくりました。“ポスター展のポスター”をふくめて10枚。取材にご協力いただいたみなさん、ありがとうございました。

美波の人びとのポスター展
  • 日時:2024年5月26日(日)12:30〜14:30ごろ
  • 会場:谷屋(たんにゃ)(〒779-2304 徳島県海部郡美波町日和佐浦184)
  • 成果報告会:2024年5月26日(日)12:30〜 成果報告会をおこないます。(報告のあと、ふり返りビデオ鑑賞・まとめと講評) 成果報告会は終了しました。ありがとうございました。

【5月26日(日)|成果報告会のようす(谷屋 たんにゃ)】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

camp.yaboten.net

 

いきなりジン

2024年4月27日(土)

あたらしいメンバーがくわわって、春学期の活動がはじまっています。ゴールデンウィークの初日、ウォーミングアップをかねて、簡単なZINEづくりのワークショップ「いきなり ジン」を実施しました。個人またはペア、グループ(2〜4名)に分かれてまちを歩き、そのあとすぐに成果をまとめたZINE(折り本)をつくるというものです。手書きやPCで編集し、近所のコンビニで出力します。

今回は、ひさしぶりに桜丘(東京都渋谷区)に「戻って」活動しました。いまではSakura Stageが建っていますが(2023年11月竣工)、まさにあの場所で再開発がはじまろうという2018年の夏から秋にかけて、フィールドワークをおこないました。およそ6年ぶり。ずいぶんとまち並みは変わってしまいました。4時間でまち歩きから編集、印刷までをおこなうというかなりタイトなワークショップでしたが、無事に6種類のZINE(折り本)が完成しました。(それぞれのZINEの説明などは後日追記予定です。)
※ 4月30日:ZINEの説明文を追記しました。

◎日時:2024年4月27日(土)13:00〜17:00(16:50ごろ終了予定)
◎場所(本部・作業):渋谷区文化総合センター 大和田 学習室6(工作室) 
https://shibu-cul.jp/gakushu/kashikan_gakushu
(アクセス https://shibu-cul.jp/access
*12:50ごろ1Fで待ち合わせ

◎内容

桜丘町界隈の簡単なフィールドワークをおこない、いきなりZINE(ごく基本型の「折り本」)をつくります。エッセイ、写真集、食レポなど、内容は自由。

  • やや粗削りでも、数時間で(最後まで)つくる体験をします
  • 身軽な状態で、まちなかで発信するやり方を試します

※参加者の人数によって、個人・グループなど、すすめ方は調整します。その他、詳細や参考資料については追って共有します。

◎もちもの

  • スマホ、デジカメ
  • (重くて面倒でなければ)PC(Illustratorがあると便利)あるいは タブレット(何らかの方法でネットへの転送、USBメモリーなどにpdf書き出しできるとよい)など。※誰かのPCを使わせてもらえるかもしれません。
  • 筆記用具(もし可能なら、色鉛筆とかマーカーの類い)
スケジュール
  • 13:00〜13:20 説明
  • 13:20〜14:20ごろ フィールドワーク
  • 14:20〜16:40 ZINEをつくる(編集)
  • 16:40〜16:50 印刷・加工
  • 16:50 片づけ(撤収)
いきなりつくったZINE

[01] 桜丘には禁止がいっぱい(神作真由・須永こころ・矢野晶)

桜丘にはさまざまな想いを持った人が行き交っている。まちには人の想いが溢れすぎていて、気づいてもらえない想いも多くありそうだった。禁止のパネルだけでなく、お願いされたり、見られていると意識させられたり。目にみえる以外の形でも、わたしたちの渋谷でのふるまいは制限されているのかもしれない。

 

[02] 桜丘の軒合たち(池本次朗+蓮見まどか)

桜丘にある「軒合」の写真集を作りました。建物と建物の境界である軒合は、場所によって利用されたり、放置されたり、ふさがれたりしています。軒合を通じて、桜丘の人たちの暮らしにほんの少しだけ触れられた気がします。再開発でできた大きな建物は、かつて存在していた軒合を消してしまったことに、ZINEを作りながら気づきました。

 

[03] 桜丘 川柳(岩﨑日向子・篠原彩乃・野上桃子・山本幸歩)

お店の看板、ポスター、建物の名前、案内標識、歩いているだけでたくさんの文字や言葉がとびこんでくる。桜丘川柳では、まちに溢れる言葉をとにかく集めて、575の形でそれらを編み直し、桜丘らしさをもう一度違った形で楽しめるようにした。この川柳の言葉たちがどこから集まったか、ぜひ歩きながら探してほしい。

 

[04] 桜丘フィールドワーク(黒木郁也・吉田優斗)

「とりあえず見る」ところから始まったものの、これといった観察するものが決まらなかったため、お互いの見たものをシンプルに記録しました。黒木は空を、吉田は風景を撮りました。それぞれ取った写真を、場所ごとにプロットして、記録した。結果的に、アナログでのZINE制作となった。

 

[05] 桜丘写真集(小田文太郎・松本仁奈)

桜丘という街で同じ景色を見て共通の会話を交わした私たち。目に留まったものをお互いが自由に撮影した。全く同じ時間に同じ道を歩いたけれどそれぞれが注目し面白く感じたところはバラバラだった。そのバラバラな視点をZINEでまとめてみた。

 

[06] 開いている店 閉じている店(石井萌景)

桜丘の喧騒を抜けた先で、次々と姿を表す個性豊かなお店。それらを横目に歩いていると、入り口が様々であることに気がついた。
扉が開けてあると、ふらっと中の様子を覗きに立ち寄りたくなる。でも扉が閉まっていると中の様子を想像してわくわくできる。それぞれのパターンに魅力がありそうだ。というわけでお店の入り口に着目して特集にしてみた。

 

[01]〜[04]は、A3サイズに片面で印刷し、一部に切り込みを入れてから折り本にします。
[05][06]は、A3サイズに両面で印刷してから加工します(詳細は後日追記します)。

 

美波キャンプ

美波で考える・つくる

更新記録
(2024-5-23)【きっかけ|つながりの系譜】に加筆。
(2024−5−15)プレスリリースを公開。参加人数も確定。
(2024-3-18)美波キャンプ(徳島県)の準備を本格的に開始、下見・打ち合わせで美波町へ

フィールドワーク型のワークショップを「キャンプ」と呼んで、学生たちとともに全国のまちを巡っています。まちで出会った人びとに話を聞いて、ひと晩でポスターをつくります。やや荒削りではあるものの、まちに暮らす人びとの姿をできるかぎり自然に映しとり、ことばを添えます。「まちに還す」ことの大切さと面白さを味わいながら、ポスターづくりのプロジェクトは15年近く続いています。

◎キャンプ(2004〜)2024年3月20日現在 → 地域別インデックス 

https://camp.yaboten.net/entry/area_index

 

【きっかけ|つながりの系譜】

学生たちとともに47都道府県を踏査しようという試みは、もう20年くらい続けていて(ポスターづくりは15年くらい)、コンプリートまで、ずいぶん時間がかかっているのですが、残り5府県となりました。まだ行っていない場所へ行こうと、段取りを考えています。四国、九州ともに残り2県、昨冬に熊本に出かけたので、こんどは四国へ。徳島県の神山町では、同僚の石川初さんが活動しています。ぼく個人としてもつながりがいくつかあるので、神山町で活動することは難しくないと理解していたのですが、せっかくだからちがう場所に出かけてみたい。
そんな思いで、ウェブで徳島県のあちこちを徘徊していたところ、美波町のことをもっと知りたくなりました。昨年の春学期には東岐波(山口県)に行き、海のそばでとてもいい感じで過ごすことができたので、行くなら海沿いがいいな、と思いつつ。
美波町という名前にも惹かれて、さらに、あれこれと検索しました(このときは、もう海辺のまちということばかりで、徳島駅から2時間半くらいかかるということは考えていませんでした)。そして、委託型の地域おこし協力隊で「地ビール地域活性化プロジェクト事業」にかかわっている熊谷亜未さんにたどり着きました。かつて、この町の経済を支えた廻船問屋「谷屋(たんにゃ)」で、地ビールの醸造、起業、運営をおこなうというプロジェクト。これは面白いにちがいない、ということで(ほぼ直感)、熊谷さんにメッセージを送りました。かなり唐突な連絡になってしまいましたが、Zoomで話をして、実現できそうな感触をえて、3月に下見に行って来ました。
いつもは、友だちの友だち…というように、人づてに対象地をえらぶやり方なのですが、今回は「飛び込み(突撃)」で。うみがめが産卵にやってくるまちで、「キャンプ」を実施することになりました。

美波キャンプ

  • 日時:2024年5月24日(金)〜26日(日)(現地集合・現地解散)*24日は移動日
  • 場所: 美波町(徳島県)
  • 参加メンバー:加藤文俊研究室 22名(学部生 20名・大学院生 2名・教員 1名)*5月15日現在

📢  プレスリリース:美波キャンプ(フィールドワーク)について(2024年5月15日)→ https://vanotica.net/mnm/pr_240515.pdf

スケジュール(暫定版)

5月24日(金)
  • 16:30ごろ 集合:谷屋(たんにゃ)(〒779-2304 徳島県海部郡美波町日和佐浦184)(予定)
  • 17:00 オリエンテーション(仮)
5月25日(土)
  • 10:00 オリエンテーション
  • 10:30ごろ〜14:30ごろ インタビュー/フィールドワーク(グループごとに行動・取材先に応じて随時スタート)
  • 15:00ごろ〜 デザイン作業(グループごとに行動):インタビュー/フィールドワークで集めてきた素材をもとに、編集作業をすすめます。
  • 17:00ごろ 夕食 カリーキャラバンのカレー 場所:うみがめラボ(〒779-2305 徳島県海部郡美波町奥河内本村169)
    (食後も引き続きデザイン作業)
5月26日(日)
  • 00:00 ポスターデータ提出(時間厳守)
  • 10:30ごろ〜 ポスター展準備 会場:谷屋(たんにゃ)(〒779-2304 徳島県海部郡美波町日和佐浦184)(予定)
  • 12:30ごろ〜 「美波の人びとのポスター展」
  • 成果報告会 12:30ごろ〜(ふり返りビデオ上映 13:00ごろ〜)
  • 14:30ごろ〜 解散

2024年3月18日|打ち合わせと下見