まちに還すコミュニケーション

場のチカラ プロジェクト|Camp as a participartory mode of learning.

研究会シラバス(2025年度秋学期)

更新記録

UPDATED(2025年7月9日)「3 方法と態度」を追加(前に書いた文章をもとにしているので、確認しつつ、適宜修正します)。
(2025年7月7日)「2025年度秋学期のおもな活動(案)」にちょっとだけ加筆しました。
(2025年7月4日)「履修したいと思ったら」に課題を登録し、ページの上方に移動しました。
(2025年7月3日)「履修したいと思ったら」「2025年度春学期のおもな活動」「2025年度秋学期のおもな活動(案)」に追記しました。

(2025年6月19日)シラバス(詳細版)入力中です。随時更新するので、マメにチェックしてください。

大学のオフィシャルサイトにある「研究会シラバス」をかならず確認してください。 

もくじ

※ 加藤研メンバー(2025年6月19日現在):大学院生 7名(博士課程 2名・修士課程 5名)・学部生 14名(4年生 6名・3年生 5名・2年生 3名)

1 はじめに

ぼくたちは、絶えずコミュニケーションしながら暮らしています。
ワツラヴィックらは、『人間コミュニケーションの語用論』(二瓶社, 2007)のなかで「コミュニケーションにおけるいくつかの試案的公理」について述べています。その冒頭に挙げられているのが、「We cannot NOT communicate(コミュニケーションしないことの不可能性)」です。つまり、ぼくたちは、いつでも、どこにいても、コミュニケーションせざるをえない。非言語的なふるまいはもちろんのこと、沈黙もまたメッセージであることに、あらためて気づきます。
そして、コミュニケーションについて考えることは、(いつ・どこで・だれが)集い、(何を・ どのように)語らうのかを考えることだと理解することができます。つまり、コミュニケーションへの関心は、必然的に「場所」や「場づくり」への関心へと向かうのです。この研究会では、コミュニケーションという観点から、人びとの「移動」や人びとが集う「場所」の成り立ち、「場づくり」について実践的な調査・研究をすすめています。 

いま述べたとおり、人と人とのコミュニケーション(ヒューマンコミュニケーション)が主要なテーマです。既存の学問分野でいうと社会学や社会心理学ということになりそうですが、ぼく自身は、学部を卒業後は「コミュニケーション論/コミュニケーション学」のプログラムで学びました。

何が起きるかわからない…。ぼくたちは、変化に満ちた時代に暮らしています。とくにこの4年近くのあいだはCOVID-19に翻弄され、これまで「あたりまえ」だと思っていたことを諦めたり手放したりする場面にいくつも遭遇しました。哀しい出来事にも向き合い、また不安をかかえながら不自由な毎日を強いられることになりました。でも、そのような不安(あるいは不満)、問題に向き合いながらも、明るくてエネルギッシュな人びとが、確実にいるということにも、あらためて気づきました。そこに、「何があっても、どうにかなる」という、人びとの強さを感じ ます。また、諸々の課題に向き合いながらも、ぼくたちを笑顔で迎えてくれる優しさにも出会います。それが、リアルです。

この圧倒的なパワーを持って、ぼくたちの目の前に現れるリアリティに、どう応えるか。それはまさにコミュニケーションにかかわる課題であり、ぼくたちが「研究会」の活動をとおして考えてゆくべきテーマです。お決まりの調査研究のスキームに即して、「報告書」を書いているだけでは、ダメなのです。つぶさな観察と、詳細な記録、 さらには人びととのかかわり(ときには、長きにわたるかかわりの「はじまり」に触れていることもある)をもふくめたかたちで、学問という実践をデザインすることに意味があるのです。

ぼくたちの活動は、たとえば「まちづくり」「地域づくり」「地域活性」といったテーマと無縁ではありません。でも、いわゆる「処方箋」づくりにはさほど関心がありません。 そもそも「処方箋」などつくれるのだろうか、と問いかけることのほうが重要だと考えます。「ふつうの人びと」の暮らしにできるかぎり接近し、その強さと優しさに光を当てて可視化するのです。そこまで行ければ、じゅうぶんです。あとは、人びとがみずからの暮らしを再定義し、そこから何かがはじまるはずです。ぼくたちのコミュニケーションのなかにこそ、たくさんのヒントがあります。

2 履修したいと思ったら

2025年度秋学期に「研究会」の履修を希望するひと

いくつかのステップを経て、履修者をえらびたいと思います。ちょっと面倒かもしれませんが、お互いのためです。結局のところは「えらび、えらばれる」という関係が大事だからです。大まかな流れは以下のとおりです。
*2025年度春学期に「研究会」を履修しているひとには、別途連絡します。

【Step 1】7月初め〜中旬

まずは、「研究会」についてあれこれと調べてみてください。参考資料を眺めたり、いくつか読んでみたりすると、内容についての理解が深まるはずです。

(0) 加藤のうごきをSNSでのぞいてみる。 https://www.instagram.com/frogleap/
(1) まず、このシラバスをじっくり読む(随時更新中です)。質問などあったら、25f [at] fklab.net 宛てに連絡する。*s(エス)は小文字、[at] は@に変える(以下同様)。
(2) 「研究会」を見学してみる(火曜日4-5限:7月8日・15日を残すのみ)。
(3) あるいは、「説明会」「成果報告会」などに参加してみる

  • 7月9日(水)16:45〜 XD説明会(τ11)
  • 7月17日(木)・18日(金)18:15〜 研究会新歓(ε12, 21, 22, 23)
  • 7月19日(土)昼ごろ カレーを食べてみる(オラ・ネウボーノ)くわしくは、このサイトをチェックしてください。→ https://curry-caravan.today/dates

【Step 2】7中旬〜8月中旬

よく検討した上で、履修したいと思ったら、課題に取り組んでください。ここ数年、ZINEや印刷物(紙媒体)について、あらためて注目していますが、その方向性との接点を知ることができるような課題を考えてみました。

(4) 課題に取り組む。下記リンク先の課題文をよく読んで、期限までに回答を送信してください。

  【課題 A】https://forms.gle/sKpbyajLsUMM7gZf6

提出期限は2025年8月18日(月)23:59 です。

【Step 3】8月下旬

いちど、会って話しましょう。8月18日(月)以降、日程調整をします。できれば8月中にメンバーを決めたいと思っています。

(5) 面談します。面談というほど大げさなものでもなく、実際に会って、課題のことや関心領域などについて話をしてみたいと思います。

3 方法と態度

(履修のための必須条件にはしていませんが)「研究会」での活動にあたっては、学部の開講科目「フィールドワーク法」「インプレッションマネジメント」「リフレクティブデザイン」などの履修経験があることが望ましいでしょう。人と人とのコミュニケーションについて考えるために、フィールドワークやインタビューに代表される定性的(質的)調査法を活用します。また、現場に密着しながら活動し、その成果を世に問うためにワークショップを実施したり、展覧会を開いたりします。

フィールドワーク

ぼくたちは、フィールドワークやインタビューに代表される質的調査(定性的調査)を重視していますが、COVID-19の影響下での暮らしを経て、方法そのものの再定義・再編成が必要となりました。とりわけ、人びとの暮らしに接近し、能動的にかかわりながらその意味や価値を理解しようという試みは、対面での「密な」コミュニケーションを前提として成り立っており、あの時期は、研究会の活動そのものが大きな制約を受けていました。
いっぽう、会議や講義のオンライン化の試みをとおして、あらたな〈現場観〉が醸成されつつあります。さまざまなメディアを駆使し、さらに時間・空間を再編成することによって、定性的調査のありようはどのように変化するのか。オンライン環境における質的調査について検討することも、引き続き大切な課題になるでしょう。

観察と記述

つぶさな観察と詳細な記述からはじまるフィールドワーク(その先にはインタビューやワークショップなどを構想・実施)をとおして実践的に考えてみたいのは、たんなる調査の方法ではありません。従来からある「問題解決」(ビジネスモデル的発想)を志向したモデルではなく、「関係変革」 (ボランタリーなかかわり)を際立たせた、あたらしいアプローチを模索しています。より緩やかで、自律性を高めたかたちで人びとと向き合い、その「生きざま」 を理解し描き出すことを目指します。
つまるところ、ぼくたちは「調査者」という、特権的に位置づけられてきた立場をみずから放棄し、人びとの日常と「ともに居る」立場へと向かうことになります。その動きこそが、変革のためのよき源泉になると考えているからです。

2006年の秋ごろから「キャンプ」をコンセプトに、「研究会」の活動をデザインしていくことにしました。そもそも、「キャンパス」も「キャンプ」も、広場や集まりを意味する「カンプス (campus)」が語源です。大学の「時間割」によって組織化される時間・空間を再編成して、いきいきした「場」づくりを実践する。その実践こそが、活気のある「グッド・プレイス(good place)」はどのように生まれ、育まれてゆくのかを考えるヒントになるはずです。

「キャンパス」と「キャンプ」

「キャンプ」は、ぼくたちのコミュニケーションや社会関係のあり方を再認識し、再構成してゆくための「経験学習」の仕組みです。

「キャンプ」と聞くと、多くの人は、テントを持って出かける、いわゆる「アウトドア」の「野営」活動を思い浮かべるかもしれません。本格的ではないにしても、ぼくたちの多くは、おそらく、幼い頃に何らかの「キャンプ」体験をしているはずです。たとえば、林間学校や野外学習などの一環として、仲間とともに、飯盒でごはんを炊いたり、星空を見上げたり、火を囲んで語ったりした思い出はないでしょうか。ここで言う「キャンプ」は、必ずしも、こうした「アウトドア」の活動を指しているわけではありません。

「キャンプ」は、ぼくたちに求められている「かかわる力」を学ぶ「場所」として構想されるものです。さほど、大げさな準備は必要ありません。「キャンプ」は、日常生活のなかで、ちょっとした気持ちの切り替えをすることで、ぼくたちにとって「あたりまえ」となった毎日を見直し、「世界」を再構成していくやり方を学ぶためにあります。それは、道具立てだけではなく、心のありようもふくめてデザインされるもので、思考や実践を支えるさまざまなモノ、そして参加者のふるまいが、相互に強固な関係性を結びながら、生み出される「場所」です。

「キャンプ」に集約される「研究会」での活動にあたっては、以下のようなふるまいが求められます。

フィールドで発想する

「キャンプ」では、現場(フィールド)での直接的な体験から、〈モノ・コト〉を考えるスタイルを大切にします。もちろん、本・論文を読むこと、理論的な枠組みをしっかりとつくることも重要ですが、まずはじぶんの目で見ること・じぶんの身体で感じることを重視します。近年、「フィールドワーク」ということばが一般的に使われるようになりましたが、「フィールドワーク」には、地道に観察・記録をおこなうこと、時間をかけてデータの整理や解釈を試みることなど、知識を生成するための「技法」としてのトレーニングには(それなりの)時間とエネルギーが要求されます。まち歩きを愉しむことは重要ですが、一人前のフィールドワーカーとして、足(と頭)を動かすことが求められます。

カレンダーを意識する

忙しいことは悪いことではないと思いますが、じぶんの〈やりたいこと〉と〈やること〉とのバランスを上手く取らないと、すべてが中途半端になります。他の授業やサークル、アルバイトなど、さまざまな活動とともに研究会を大切にすることを強く望みます。言いかえるならば、〈望ましさ〉と〈実現可能性〉をつねに意識するということです。これはやる気、能力、チャンスなどと関連していますが、スケジュールや時間のマネジメントが重要である場合が少なくありません。中途半端にならないように、研究活動のカレンダーをきちんとデザインすることが重要です。

じぶんを記録する

フィールドワークを基本的なアプローチにする際、調査の対象となる〈モノ・コト〉への感受性ばかりでなく、テーマに取り組んでいるじぶん自身への感受性も重要です。つまり、じぶんが、いったいどのような〈立場〉で〈モノ・コト〉を見ているのか…をどれだけ意識できるかということです。また、その〈立場〉をどのように明示的に表現(=つまりは調査結果の報告)できるかが大切です。フィールドワークをおこなう際には、現場で見たこと・発見したことを書き留めるためにフィールドノートを書くのが一般的ですが、研究会の時間をふくめ、日々のじぶんを記録します。

コミュニケーションの練習

ことばを大切に正確につかいたい。つねにそう思いながら活動することを心がけています。たとえば「地域活性化」「まちづくり」「コミュニティ」など、 それっぽくて、その気になるようなキーワードはできるかぎり排除して、慎重にことばをえらびたいと考えています。つまり、コミュニケーションに執着するということです。「わかったつもり」で、ことばをえらばないこと。そして、相手(受け手)を考えて丁寧に語る/表現する姿勢を執拗に求めることです。
その練習のために、ジャーナリング(日々の活動日誌)、スケッチや図解、エッセイなどをおこないます(詳細は開講時に説明します)。

4 2025年度春学期のおもな活動

すべてを網羅することはできないのですが、活動のタイプは大きく3つに分けて整理することができます。(1) 研究会メンバー(ときには大学院生もふくめて)全員で取り組むもの、(2) グループワーク(学部1〜3年生)、(3) 卒業プロジェクト(4年生)の3つです。
「研究会」は1週間に1回(2コマ続き, 180分)で開講しています。くわえて、週末にフィールドワークやワークショップ(「キャンプ」)をおこなったり、それぞれの計画に応じてグループワークをすすめたりします。

 研究会メンバー全員の取り組み

たとえば2025年度春学期は、研究会メンバー全員での取り組み(フィールドワーク、ワークショップなど)として、以下のような活動をおこないました(計画中のものをふくむ)。

(1)パスタキャンプ(ぷちキャンプ)(2022年4月)
あたらしいメンバーも加わったので、そのオリエンテーションをかねて、滞在棟(SBC)でワークショップをおこないました。

(2)双海キャンプ(2022年5月)
47都道府県の踏査を目指して、20年近く前にはじまった「キャンプ」というワークショップ型のフィールドワークはいよいよ「コンプリート」に近づいています。今学期は双海町(愛媛県伊予市)対象地に2泊3日の「キャンプ」を実施しました(ダイジェストビデオを観ると、雰囲気が伝わるはずです)。

(3)A Day in the Life 11(2025年7月)予定
〈ある一日〉を決めて、その日の一人ひとりの生活の「細片」をビデオにまとめるプロジェクトです。もともとは、リドリー・スコットらのプロジェクト「Life in a Day」(2010, 2020)に触発されて、一昨年度から半年ごとに実施しています。
A Day in the Life(2020年7月)」「A Day in the Life 2(2021年1月)」「A Day in the Life 3(2021年7月)」「A Day in the Life 4(2022年1月)」「A Day in the Life 5(2022年7月)」「A Day in the Life 6(2023年1月)」「A Day in the Life 7(2023年7月)」「A Day in the Life 8(2024年1月)」「A Day in the Life 9(2024年7月)」「A Day in the Life 10(2025年1月)」と同様に、〈ある一日〉を記録・編集する予定です。
以下は「A Day in the Life 10」(2025年1月25日)です。(今年のバージョンが完成したら差し替えます↓)

2025年1月25日

(4)五島キャンプ(2025年9月)(特プロ実施予定)
現在、詳細については調整中ですが、9月初めに五島(長崎県)でポスターづくりのワークショップを計画しています。

グループワーク(学部1〜3年生)

2025年度春学期は“ささやかな抵抗”というテーマでグループワークをすすめています。成果は、冊子にまとめたりウェブで公開したりするほか、ORF(2025年11月)や「フィールドワーク展XXII」などで展示する予定です。→ ウェブ (準備中)

(参考)

グループワークについての考え方については、これも参考になります。

フィールドワークの課題をデザインする - まちに還すコミュニケーション

卒業プロジェクト(学部4年生)

2026年3月に卒業予定の4年生は、7名です。それぞれの「卒業プロジェクト」については、2026年2月に開催予定の「フィールドワーク展XXII」で展示されます。

  • 「卒プロ」のまとめ(2025年春学期) → 8月中旬に公開予定です。   
  • 2025年4月から「卒業プロジェクト」に取り組んでいるメンバーは、その進捗を記録するためのメディア『そつある日々 3』を毎月発行しています(毎月20日発行)。 → 「そつある日々 3」(Medium)

5 2025年度秋学期のおもな活動(案)

詳細については調整中(随時更新)です。これまでと同様に活動のタイプは大きく3つに分けて整理することができます。(1) 研究会メンバー(ときには大学院生もふくめて)全員で取り組むもの、(2) グループワーク(学部1〜3年生)、(3) 卒業プロジェクト(4年生)の3つです。
「研究会」は1週間に1回(2コマ続き, 180分)で開講します。くわえて、週末にフィールドワークやワークショップ(「キャンプ」)をおこなったり、それぞれの計画に応じてグループワークをすすめたりします。

 研究会メンバー全員の取り組み

もろもろ、準備中です。

(1)キャンプ(ぷちキャンプ)

2025年10月 調整中

調理する?ZINEをつくる?

(2)キャンプ

2025年11月7日(金)〜9日(日) *調整中

(3)オープンリサーチフォーラム(ORF205)

2025年11月22日(土)・23日(日)出展予定

(4)A Day in the Life 12

2026年1月25日(日) 実施予定

(5)フィールドワーク展XXII

2026年2月
毎年、研究室の活動成果を報告するための展覧会を開いています。2005年2月にはじまった「フィールドワーク展」は、今年度22回目となります。まちで考えたこと・学んだことを、もういちど「まちに還す」ための試みです。キャンパスで成果発表をおこなうのとはちがって、まちの人びと(通りがかりの人もふくむ)、家族や友人たちにも、研究室の活動を紹介する機会として継続してきました。今年度は、以下の日程で開催することになりました。

写真:昨年度の「フィールドワーク展XXI:綴」のひとコマ(2025年2月・横浜)

「研究会」の活動をわかりやすく整理し、「世に問う」場として、展示の会場づくりをすすめます。例年のことですが、秋学期は「フィールドワーク展」の企画や準備に時間とエネルギーを使うことになります。展示に向けて、合宿(キックオフミーティング)を計画しています(詳細は未定)。

  • 日時:2026年2月6日(金)〜8日(日)
  • 会場:(未定)
グループワーク(学部1〜3年生)

2025年度秋学期のテーマは少し時間をかけて考えるつもりですが、現時点で思い浮かべているキーワードを挙げておきます。

  • ささやかな抵抗 2(今学期の内容を何らかのかたちで継承。つまりあいまいな領域の生態を知ること、「グレーゾーン」をどうデザインするかという問題。)
  • ルーズとタイト(上記とおなじ)
  • ロマンとそろばん(夢を追いたい気持ちと損得勘定をどう按分するかという問題。私・共・公についての向き合いかた。)
  • おいしさ(「一緒に食べよう」(2023年度春学期)の続き。やはり「共食」には興味があるので。調理実習をやりたい。)

成果は、冊子にまとめたりウェブで公開したりするほか、「フィールドワーク展XXII」などで展示する予定です。

卒業プロジェクト(学部4年生)

2026年3月に卒業予定の4年生は、引き続きそれぞれの「卒業プロジェクト」に取り組みます。成果は、合同卒プロ発表会(予定)や2026年2月に開催予定の「フィールドワーク展XXII」で展示されます。

  • 「卒業プロジェクト」の進捗を記録するためのメディア『そつある日々 3』は、引き続き毎月発行予定です(毎月20日発行)。 → 「そつある日々 3」(Medium)
イベントカレンダー(仮)
  • 2025年10月中旬 ぷちキャンプ(予定)
  • 2026年1月 展覧会のための合宿(SBCを予定)
  • 2026年2月6日(金)〜8日(日) フィールドワーク展XXII(予定)

6 履修にあたって

シラバス(大学のオフィシャルサイト版)に記載しているとおり、以下を「履修条件」として挙げています。

  • フィールドワークやインタビューなど、現場での活動を「がっつり」やってみたい
  • コミュニケーションの理論・実践に関心がある
  • 文章を書くのが好き(ことばの難しさを実感している)
  • 紙メディアの編集(製本・印刷のことなどをふくめ)に興味がある
  • 展覧会の企画・運営を体験してみたい (追加)

また、加藤が担当する「フィールドワーク法」「インプレッションマネジメント」「リフレクティブデザイン」「SBC実践(出版)」のいずれかを履修していることが望ましいでしょう。

フィールドワークは、時間を必要とします。地道にコツコツと積み上げてゆく方法と態度を学ぶための「研究会」です。サークル、アルバイト、インターンシップ、就職活動など、やること・やりたいことがたくさんあるのはよいことですが、週1回の「研究会」の時間(時間割に表れる時間)以外に、多くの時間を供出することが条件です。それができない場合には履修をおすすめしません。フィールドに出ること、観察したモノ・コトについて文章に綴ること、たくさん語ること、そのための時間とエネルギーを惜しまないひとの履修を期待しています。

  • 2025年度春学期に「研究会」を履修したひとは、上記の履修条件をもういちど確認してください。記載事項は半年前とほぼおなじですが、今学期をふり返って、履修する(履修できる)かどうかをよく考えてください。継続が難しい場合もあります。
  • 原則として、7セメスター目からの新規履修は認めていません。また、2025年度秋学期が6セメスター目の場合、「研究会」の履修が「卒プロメンター」の引き受けを約束するものではありません。「研究会」と「卒プロ」は、別のもの(履修上も別科目です)なので、よく考えて行動してください。
資料

フィールドワークや学習環境の設計にかんする考え方については、下記を読んでみてください。

  • 加藤文俊(2025)「コモニング」という場づくり:共食の実践から考える『The KeMCo Review』03(特集:コモンズ — コモンズ的実践)pp. 39-50.(慶應義塾ミュージアム・コモンズ) 

    https://www.jstage.jst.go.jp/article/kemcoreview/3/0/3_3-5/_pdf/-char/ja

  • 加藤文俊・諏訪正樹・石川初(2023)フィールドワークの学と術 桑原武夫・清水唯一朗(編)『総合政策学の方法論的展開(シリーズ 総合政策をひらく)
  • 加藤文俊(2022)態度としてのフィールドワーク:学会誌の「外」へ 『認知科学』第29巻4号, pp. 661-667.
  • 加藤文俊(2020)デザインというかかわり『デザイン学研究』特集号(社会実践のデザイン学)102, Vol. 27-2, pp. 42-47. 
  • 加藤文俊(2017)「ラボラトリー」とデザイン:問題解決から仮説生成へ『SFC Journal』第17巻第1号 特集:Design X*X Design: 未知の分野における新たなデザインの理論・方法の提案とその実践(pp. 110-130)
  • 加藤文俊(2014)まちの変化に「気づく力」を育むきっかけづくり(特集・フィールドワーカーになる)『東京人』5月号(no. 339, pp. 58-63)都市出版
読んでおきたい本(抜粋)
  • 荒井良雄ほか(1996)『都市の空間と時間:生活活動の時間地理学』古今書院
  • ジョン・アーリ(2015)『モビリティーズ:移動の社会学』作品社
  • 海野弘(2004)『足が未来をつくる:〈視覚の帝国〉から〈足の文化〉へ』洋泉社
  • アンソニー・エリオット+ジョン・アーリ(2016)『モバイルライブス:「移動」が社会を変える』ミネルヴァ書房
  • ケネス・ガーゲン(2023)『関係の世界へ:危機に瀕する私たちが生きのびる方法』ナカニシヤ出版
  • ケネス・ガーゲン(2020)『関係からはじまる:社会構成主義がひらく人間観』ナカニシヤ出版
  • 加藤文俊(2018)『ワークショップをとらえなおす』ひつじ書房
  • 加藤文俊(2016)『会議のマネジメント:周到な準備、即興的な判断』中公新書
  • 加藤文俊(2009)『キャンプ論:あたらしいフィールドワーク』慶應義塾大学出版会
  • 佐藤郁哉(2006)『フィールドワーク(増補版):書を持って街に出よう』新曜社
  • 清水義晴・小山直(2002)『変革は、弱いところ、小さいところ、遠いところから』太郎次郎社
  • 橋本義夫(1978)『誰にでも書ける文章:「自分史」のすすめ』講談社現代新書
  • ドロレス・ハイデン(2002)『場所の力:パブリックヒストリーとしての都市景観』学芸出版社
  • エドワード・ヒュームズ(2016)『「移動」の未来』日経BP
  • ケン・プラマー(2021)『21世紀を生きるための社会学の教科書』(ちくま文庫)
  • ケン・プラマー(1991)『生活記録の社会学:方法としての生活史研究案内』光生館
  • パウロ・フレイレ(1979)『被抑圧者の教育学』亜紀書房
  • ウィリアム・ホワイト(2000)『ストリート・コーナーソサエティ』奥田道大・有里典三(訳)有斐閣
  • ジョン・ヴァン・マーネン(1988)『フィールドワークの物語:エスノグラフィーの文章作法』現代書館
  • 宮本常一・安渓遊地(2024, 増補版)『調査されるという迷惑:フィールドに出る前に読んでおく本』みずのわ出版
  • ポール・ワツラヴィックほか(2007)『人間コミュニケーションの語用論:相互作用パターン、病理とパラドックスの研究』二瓶社
リンク

その他、活動内容や日々の雑感についてはブログや研究室のウェブ、SNSなどで随時紹介しています。

コミュニティリサーチのデザインと実践(特別研究プロジェクトB)

2025年度夏季「特別研究プロジェクトB|コミュニティリサーチのデザインと実践」は、長崎県五島市を対象地に実施します。参加者は、五島市でのフィールドワークをおこない、成果をスケッチ(風俗採集)、ポスター、ビデオなどのフォーマットでまとめる予定です。

本研究プロジェクト(特別研究プロジェクトB)は、地域コミュニティの調査方法の設計および実践について、フィールドワークやワークショップをとおして学ぶものである。
私たちに比較的なじみ深いコミュニティ調査は、地域における諸問題を同定し、それに対する解決方法を探るというアプローチである。地域をめぐる問題状況のマッピングが行われ、対処方法や優先順位の検討、さらにはコストの試算・配分等についての議論がすすめられる。問題状況は、その規模や緊急性、 抽象度に応じて分類されるが、Kretzmannら(1993)は、こうした“needs-driven”とも呼ぶべきアプローチ自体が、問題状況に向き合う当事者を必要以上に“クライアント化”する可能性があると指摘する。ひとたび地域コミュニティにおける課題が「問題」として提示され共有されると、当該の「問題」に関わるアクターやその役割関係が固定的になりがちだからである。また、地域固有の問題でありながら、不特定多数の人びとを「受け手」に想定した記述、報道がなされると、問題状況そのものが、あたかも「他人事」であるかのように対象化されることになる。
近年、アメリカ、オーストラリアを中心に、Asset-Based Community Developmentアプローチ(以下ABCDアプローチと呼ぶ)の実践が拡がりつつある。同アプローチは、地域におけるニーズを発掘し、それに対して「問題解決」を試みるという“needs-driven”の発想ではなく、まずは地域のもつ「資 産」を熟知し、その潜在的な可能性を模索するものである。つまり、“capacity-focused”という立場から、地域に偏在する多様な「資産」の理解を試みることになる。ABCDアプローチでは、地域コミュニティが保有する「資産」を、個人の属性・能力、地域における集まり、地域の組織・施設から構成されるものとして位置づけ、地域の「強み」(潜在的な可能性)を可視化しようと試みる。
本プロジェクトは、上記のような理論的動機にもとづき、地域コミュニティの調査設計のあり方について、実践的に学ぶことを目指している。学生たちは、長崎県五島市でフィールドワークやインタビューを行い、滞在中に成果をまとめて報告を行う。

双海キャンプ(ドキュメント)

ビデオでふり返る

2025年5月16日(金)から18日(日)の成果報告会までを記録したダイジェストビデオです。このビデオは、18日(日)の成果報告会で上映しました。

◉撮影・編集:吉田 優斗・堀合 詩織


2025年5月18日(日)|成果報告会のようす

双海キャンプ(ポスター)

ポスターをつくる

今回は、5名のかたがたにインタビューをおこない、ひと晩でポスターをつくりました。“ポスター展のポスター”をふくめて6枚。ご協力いただいたみなさん、ありがとうございました。

ふたみの人びとのポスター展
  • 会期:2025年5月18日(日)12:30〜
  • 会場:ふたみ潮風ふれあい公園(潮風ふれあいの館 1F 研修室)(〒799−3207 愛媛県伊予市双海町高岸乙869-2)
    • 成果報告会 12:30ごろ〜(ふり返りビデオ上映 13:00ごろ〜)成果報告会は終了しました。ありがとうございました。

2025年5月18日(日):成果報告会

 

 

 

 

 



双海キャンプ

ふたみで考える・つくる

更新記録
(2025-5-11)ページを更新しました。(ポスター展会場の詳細ほか)
(2025-5-3)ページを更新しました。(きっかけ/つながりの系譜)
(2025-3-3)双海キャンプ(愛媛県)のページを公開しました。

フィールドワーク型のワークショップを「キャンプ」と呼んで、学生たちとともに全国のまちを巡っています。まちで出会った人びとに話を聞いて、ひと晩でポスターをつくります。やや荒削りではあるものの、まちに暮らす人びとの姿をできるかぎり自然に映しとり、ことばを添えます。「まちに還す」ことの大切さと面白さを味わいながら、ポスターづくりのプロジェクトは15年近く続いています。

◎キャンプ(2004〜)2025年3月3日現在 → 地域別インデックス 
https://camp.yaboten.net/entry/area_index

【きっかけ|つながりの系譜】(2025-5-3追記)

学生たちとともに47都道府県を踏査しようという試みは、もう20年くらい続けていて(ポスターづくりは15年くらい)、コンプリートまで残り3府県となりました。四国、九州ともに残り1県、昨冬に大分に出かけたので、こんどは愛媛へ。

ここ数年は、いよいよ「白地図塗り」が終わりそうだということで、行き先を決めるのは比較的簡単です。このあとの順番としては、愛媛→長崎→京都 です(京都はいちおうぼくの生まれ故郷なので、フィニッシュは京都と決めていました)。もしかすると、今年中(今年度中)に終わるかもしれません。愛媛については、直接の知り合いがいないので、ウェブを検索。たいてい、地域おこし協力隊のみなさんの活動は公開されているので、そこを「入り口」に自治体のウェブやFacebookを徘徊していると、少しずつようすがわかってきます。

そして、ウェブを検索していたら「泊まれる喫茶店 ポパイ」にたどり着き、見るからに(地図で見ればすぐわかる)素敵なロケーションなので、上田沙耶さんにいきなりメッセージを送りました。それが、2024年12月の末のことでした(大分での「別府キャンプ」を終えて帰ってきた余韻のなか)。
じつは、これ、昨年の5月に徳島県の美波町に出かけたときとおなじやり方です。美波町のときも、「地域おこし協力隊」「徳島県」で検索して、「地ビール地域活性化プロジェクト事業」にかかわっている熊谷亜未さんにたどり着き、(いきなり連絡をして)3月に下見、5月に実施という流れで「美波キャンプ」が実現したのでした(2024年5月)。

なので、今回も、「泊まれる喫茶店」をきっかけに、3月に下見、5月に実施という感じを想定していました。年が明けてから上田さんとつながり、1月中旬にオンラインで話をして、その後のやりとりで5月の実施についてご協力いただけることになりました。1月末には具体的な実施の日程も決まり、「ポパイ」に逗留できそうだということを確認しました。

そのあとは、ぼくのほうも「フィールドワーク展XXI」やZINEの展示「The Selfish Zine」などあって(学期末だし)、かなりドタバタしていて、3月の初めになってから、下見の計画を打診しました。なんと…ちょうどそのタイミングで、上田さんが市議選(伊予市)に出馬を決めたことを知ります。いきなりFacebookで決意表明を見て、調べたところ投票日は4月20日なので、おそらくそれまではかなり忙しいはず(今回については、下見は断念することに)。日程はすでに学生たちに伝えてあって、チケットの手配などすすめているので、「双海キャンプ」は、とにかく決行。そんな感じで投票日を待ちました。

結果は、上田さん、ぶっちぎりでトップ当選(㊗️おめでとうございます!)。これはスゴい。スゴい、と感動しながらも、「キャンプ」のほうは準備がすすんでいないので、4月21日(投票日の翌日)に連絡を再開。というわけで、今回の「双海キャンプ」は下見をすることができず、さらに細かい調整や打ち合わせもままならないまま進行していましたが、無事に実現となりそうです。

双海キャンプ
  • 日時:2025年5月16日(金)〜18日(日)(現地集合・現地解散)*16日は移動日
  • 場所: 双海町(愛媛県)
  • 参加メンバー:加藤文俊研究室 13名(学部生 12名・教員 1名)*5月1日現在 *ゲスト参加者あり(予定)

📢  プレスリリース:双海キャンプ(フィールドワーク)について → pr_250510.pdf

スケジュール(暫定版)

5月16日(金)
  • 16:30ごろ 集合:海に恋する泊まれる喫茶店 ポパイ(〒799-3207 愛媛県伊予市双海町高岸甲956-5)(予定)
  • 17:00 オリエンテーション
  • 17:30ごろ〜 夕食
5月17日(土)
  • 10:00 オリエンテーション
  • 10:30ごろ〜14:30ごろ インタビュー/フィールドワーク(グループごとに行動・取材先に応じて随時スタート)
  • 15:00ごろ〜 デザイン作業(グループごとに行動):インタビュー/フィールドワークで集めてきた素材をもとに、編集作業をすすめます。
5月18日(日)
  • 00:00 ポスターデータ提出(時間厳守)
  • 10:30ごろ〜 ポスター展準備 会場:ふたみ潮風ふれあい公園(潮風ふれあいの館 1F 研修室)(〒799−3207 愛媛県伊予市双海町高岸乙869-2)
  • 12:30ごろ〜 「ふたみの人びとのポスター展」潮風ふれあいの館 1F 研修室
  • 成果報告会 12:30ごろ〜(ふり返りビデオ上映 13:00ごろ〜)
  • 14:30ごろ〜 解散

Photo: 2025年5月17日(土)