まちに還すコミュニケーション

場のチカラ プロジェクト|Camp as a participartory mode of learning.

exploring the power of place - 037

【本日発行】️ 🍁キャンパスが美しく彩られています。学期も後半へ。加藤研のウェブマガジン “exploring the power of place” 第37号(2019年11月20日号)『えびす(2)』をお届けします。→ https://medium.com/exploring-the-power-of-place/tagged/037

◎ 第37号(2019年11月20日号):えびす(2)

  • 恵比寿出身の彼女(安藤 あかね)
  • ティズ・ザ・シーズン(牧野 渚)
  • 途中駅(比留川 路乃)
  • 「訛ってない。」(堤 飛鳥)
  • 恵比寿の消灯(久慈 麻友)
  • ロンドン、神戸、リキッドルーム(太田 風美)
  • 瀟洒、それだけ?いいえ、猥雑も。(木村 真清)
  • 誇らしげに(森部 綾子)
  • あの頃の私、この頃の私(水野 健)
  • 恵比寿の邂逅(大橋 香奈)

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おびキャンプ

おびで考える・つくる

全国を巡る「キャンプ」は、続いています。2019年度秋学期2回目(今年最後)は、宮崎県日南市の飫肥(おび)に出かけることになりました。まちの人びとを対象に取材をおこない、その結果をもとに、滞在中にポスター/ビデオを制作する予定です。

【きっかけ】もともとは、「出雲キャンプ」(2018年11月実施)のきっかけになった、うらりんこと浦山さんから、宮崎県なら日南市はどうかと提案があり、まずは市役所の方につないでいただきました。それが、2018年8月。その流れで地域おこし協力隊(当時)の神明美里さんと知り合いました。神明さんはSFC出身だったこともあって、親身に相談に乗ってくれて、オンラインで打ち合わせなどしていたのですが、なかなか動き出せずにいました。そして、今年の夏ごろから、ふたたび「おびキャンプ」の実現に向けて動きはじめ、神明さんを「窓口」に準備をすすめていたのですが、諸々の事情でPAAK Design鬼束準三さんに引き継がれることになりました。
いろいろな人を経由して、最初の話から(途中、ちょっとした空白期間もあって)1年以上経って、ようやく実現となりました。(今回、飫肥に行けば、残りは8つの府県です。)

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2019年11月10日現在|地域別インデックス → http://camp.yaboten.net/entry/area_index

【下見へ】そして、11月9日〜10日にかけて下見に出かけてきました。鬼束さんに会って、あれこれ相談しているうちに、取材先、宿、作業場所、印刷、成果報告会などなど具体的な話になり、いつものようなスタイルで「おびキャンプ」が実施できることに。夜は、早田さん(飫肥商店会会長)らと、たっぷり飲んだり食べたり。10日は鬼束さんの案内で、飫肥のまちを歩きました。ありがとうございます。🙇‍♂️
わずかな滞在時間ですが、まちを歩くこと、人と出会うこと、「ちいさなメディア」をつくること・流通させることの可能性や意味について考えてみたいと思います。最終日(12月15日)には、ポスター展と成果報告会をおこなう予定です。  

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2019年11月10日(日)

  • 日時:2019年12月13日(金)〜15日(日)(原則として現地集合・現地解散)
  • 場所:飫肥(宮崎県日南
  • 本部(作業):PAAK Design Inc.(〒889-2535 宮崎県日南市飫肥5-2-18 2F)
  • 参加メンバー(加藤文俊研究室):17名(学部生 15名・大学院生 1名・教員 1名)*11月17日現在
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📢プレスリリース:おびキャンプ(フィールドワーク)について(2019年11月18日) → https://vanotica.net/obp/pr_191118.pdf

 

スケジュール(暫定版)

12月13日(金)

  • チェックイン
  • 18:00〜18:30 集合:PAAK Design Inc.https://paak-design.co.jp/)(〒889-2535 宮崎県日南市飫肥5-2-18 2F)
  • 19:00〜 交流会

12月14日(土)

  • 10:00ごろ〜 フィールドワーク・インタビュー(グループごとに行動・取材先に応じて随時スタート):2名のグループで、インタビュー先に出かけて話を聞きます。もちろん、写真も撮ります。
  • 14:00ごろ〜 アイデア出し・デザイン作業(グループごとに行動):フィールドワークで集めてきた素材をもとに、ポスターのデザイン/編集作業をすすめます。
  • 17:30ごろ 夕食
  • 19:00ごろ〜 アイデア出し・デザイン作業(つづき)

12月15日(日)

  • 7:30 ポスターデータ入稿:データ提出(時間厳守)→ 9:00 印刷へ 創客創人センター(市民活動支援センター)(〒887-0014 宮崎県日南市岩崎三丁目4番地1-2号 堀川ビル2F)
  • 10:30ごろ〜 展示準備・設営 会場:旧藩校 振徳堂〒889-2535 宮崎県日南市飫肥10-2-1)
  • 12:30ごろ〜 「おびの人びとのポスター展」
    (12:30〜 成果報告会 → 13:30〜 ふり返りビデオ鑑賞・まとめと講評)
  • 14:00ごろ 片づけ・解散

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https://www.instagram.com/p/B4qXOwpD0iZ/

2019年11月10日(日)|🍚時が止まっているかのような宿で、朝ごはん。

桜井キャンプ(ドキュメント)

ビデオでふり返る

2019年11月1日(金)から3日(日・祝)の成果報告会までを記録した、ダイジェストビデオです。このビデオは、現地にいるあいだに撮影と編集を済ませ、「キャンプ」のプログラムのなかで上映・鑑賞する「リアルタイム・ドキュメンテーション」の試みです。3日の成果報告会のなかで上映しました。

◉撮影・編集:田村 糸枝梨・久慈 麻友

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2019年11月3日(日・祝)ビデオ上映のようす(エルト桜井)

桜井キャンプ(ポスター)

ポスターをつくる

ポスターづくりのプロジェクトをはじめて、すでに10年。今回は、9名のかたがたにインタビューをおこない、ひと晩かけてポスターをつくりました。“ポスター展のポスター”をふくめて10枚。取材にご協力いただいたみなさん、ありがとうございました。

桜井の人びとのポスター展
  • 日時:2019年11月3日(日・祝)12:00ごろ〜
  • 会場:エルト桜井〒633-0091 奈良県桜井市大字桜井1259

* 3日(日・祝)12:30〜 成果報告会をおこないます。13:30ごろ〜 ふり返りビデオ鑑賞・まとめと講評成果報告会は終了しました。ありがとうございました。

https://www.instagram.com/p/B4Y6I-RDpWX/

桜井の人びとのポスター展。成果報告会です。 #skrp #vanotica19f

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 水野 健・日下 真緒

 

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佐藤 しずく・笹川 陽子

 

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 堤 飛鳥・坂本 彩夏

 

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山田 琴乃・太田 風美

 

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中田 早紀・高島 秀二郎

 

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 藤田 明優菜・木村 真清

 

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 染谷 めい・牧野 岳

 

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 牧野 渚・スパンタリダー ピッチャー

 

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安藤 あかね・比留川 路乃

 

 

場所の時間

上野動物園は、奇妙な形をしている。インターネットで検索して、「園内マップ」を見ればすぐにわかる。動物園は東西に分かれていて、それを、通路がつないでいるような格好だ。園内を歩いているぶんには、あまり気になることはない。なにより、動物たちに気持ちが向いているので、動物園そのものの形状など、大したことだとは思わないのだ。あるセミナーで、この不思議な形は、じつは東照宮を囲むかたちで動物園ができたからだという話を聞いた。なるほど、と思った。

まずは、見晴らしのよい、高いところに建物ができる。*1時間の流れとともにその建物が駆逐されるなら、おそらく山の頂に、また何かが建つことになるだろう。だが、山の上が、東照宮のように、簡単に変わり得ない場所になってしまうと、それを避けて、取り囲むようにつぎの「計画」が実施されるのだ。つまり、上野動物園は、昔の時間を取り囲むように、上野の山に寝そべっている。「地層」ならぬ「時層」が、露出しているということだ。*2園内が奇妙な形をしているのは、今と昔をつないでおくための方策だったのだ。

新しい年になった。諏訪さんとのまち歩きも、ちゃんと月一回のペースで続いている。寒い日だった。まちは、まだお正月の雰囲気で、道行く人の姿はまばらだった。

「やはり、高い所は見晴らしがよかったのだろうな…」と、ぼんやりと考えていた。上野の山ほどでなくとも、人は高いところに向かいたい気持ちになるようだ。だが、その「高まり」へと向かう気持ちは、上手く説明できないことがある。緩やかな上り坂だと、あまり行く気にならない*3のだが、逆に、な階段だと、(疲れるだろうとやや躊躇いながらも)足が向く。*4山の上は目指したいのだが、そこに至る道のりは、さまざまだ。

地図は片手に持っていたが、いつもにも増して、彷徨いの感覚が強かった。このあたりには、寺がたくさんある。地図を見れば、その名前や記号が記されている。*5まちを歩いていると、なぜだか寺や神社に引き寄せられてしまうのだ。

ぼくたちは、すでに水路の痕跡を求めることに楽しさを感じはじめていたが、同じように、人びとが集った痕跡*6をさがしていた。

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まちを歩いていて、こんもりと茂る緑が見えたら、それは、神社や寺かもしれない。ぼくたちは、吸い寄せられた。境内は整然としていて、手入れが行き届いているように見えた。大きな銀杏の樹が二本。樹齢は300年と書いてあっただろうか。

銀杏の樹を見上げたら、空しか見えないような、そんな時間があったにちがいない。もちろん、幹はもう少し細かっただろう。いまは、銀杏の背景にはマンションが見える。背の高い建物が、この寺の周りを囲みつつあるのだ*7あいにく、高い場所ではないので、ここから見える空は、どんどん小さくなっていくしかない。

銀杏のまわりには、まちがいなく、昔の時間が流れている。本堂のほうは、改築工事がすすんでいるようだった。

「なんか、境内は落ち着くね」と諏訪さんが言った。

「そうですね」

としか答えようがなかったが、実際に、こぢんまりとした、品のある場所だった*8決して広いとは言えない空間だったが、まちにとけ込んでいて、これからも、銀杏の樹とともに「時層」が守られていく場所だ。

わずか数十メートルの参道を逆戻りして、広い通りに出た。クルマは少なかったが、まったくちがう時間の流れに向き合うことになった。敷地が狭いせいか、ひょろ長いマンションが林立している。

よく言えば、デザイナーや建築家に、さまざまな冒険を許している、ということになる*9大胆な、都市景観の設計だ。悪く言えば、秩序のない風景だ。マンションが建つたびに、静かに露出していた、いくつかの「時層」が、消されてしまったにちがいない。ひとつひとつは、面白い意匠として評価できるかもしれないが、二本の銀杏の樹を見上げたあとだった。

あまりにもバラバラな風景を嘆きつつ、写真を何枚か撮った。

寒さに耐えられず、この日のまち歩きは、二時間で終えることにした。坂の途中に蕎麦屋があったので、暖簾をくぐった。

「やはり、まちには品格が必要だ」

「あのマンションは、ひどいね」

「きょうは、本当に寒かった」

「この時間から呑んでも、いいよね?」

「まだ三時半くらいなんだけど」

諏訪さんは日本酒を、ぼくは焼酎を頼んだ。じつは、諏訪さんと呑むのは、これがはじめてだった

いつも、二人ともボイスレコーダーを身につけて、まち歩きの様子を録音している。二人の会話はもとより、ちょっとした気づきや、ため息など、ぼくたちの、まちとの関わりを記録しておくためだ。後で聞いてみると、まちの音も一緒に再現されて、臨場感があってなかなかいい。簡単な、タイムトラベルのようなことになる。

ボイスレコーダーは、歩き終えて、その日をふり返る時間も電源を入れたままにしておく。諏訪さんが、マイクを付けたまま、トイレに立ったので、ソノあいだも録音が続いているのだな…などと、想像しそうになって、慌ててかき消した。

店に入ったときには、まだ日が高く、ブラインド越しの光がまぶしかったが、いつの間にかすっかり暮れていた。

●この文章は、数年前に同僚の諏訪さんとすすめていた「まち観帖」プロジェクトのなかで綴られた「まち観がたり」の一篇です。フィールドワークをとおして獲得した〈ことば〉(まち観の型ことば)に裏打ちされた、セミ・フィクションです。

参考

  • 加藤文俊・諏訪正樹(2013)「まち観帖」を活用した「学び」の実践 SFC Journal, “学びのための環境デザイン” 特集, Vol.12, No.2, pp. 35-46.
  • 加藤文俊・諏訪正樹(2012)フィールドワークのための身体をつくる:「まち観帖」のデザインと実践(第39回研究発表大会梗概集, pp. 68-69)
  • 諏訪正樹・加藤文俊(2012)「まち観帖:まちを観て語り伝えるためのメディア」人工知能学会第26回全国大会,2P1-OS-9b-6

*1:自らの目線を高いところにおいて、まちを俯瞰することは、私たちの自然な欲求だろうか。当然、家をどこに構えるかを決める判断にもなる。興味ぶかいのは、高低差のなかに時間の流れが見えるかもしれないという点だ。アクセスの善し悪しについても考えてみたい。居場所を決めることは、(たんによい眺めを求めるだけではなく)人びととの関わり方を選択することでもある。

*2:今昔の視点でまちを観ることの基本のひとつが、時間的な変化を〈いま〉どうやって慮るかという点である。じつは、まち観の方法が身体化されてくると、まちのいたるところに、〈むかし〉が露出していることに気づく(まち観の型ことば1を参照)。型ことばのカードでは、神社・寺が例として挙げられているが、他にもさまざまな手がかりとなるモノ・コトがある。

*3:まちを彷徨うとき、まちの風景が、私たちに語りかけてくる。たとえば上り坂を目の前にしたとき、道路の幅、そして傾斜は何を語っているだろうか。わかりやすい道は、おそらく退屈さを喚起する。わかりにくさは、ストレスになるだろう。不思議なバランスで目の前に現れる風景は、私たちの冒険心を刺激する(まち観の型ことば30を参照)。

*4:たとえば二人で歩いている場合には、まちの歩きかたは、パートナーに影響を受ける。お互いを理解し、身体感覚が養われていくことはあるが、それ以前の段階で、直感的な判断が一致することもしばしばだ。階段の向こうに何があるのか。それが気になって上ったことがある。冒険心をかき立てる風景がある(まち観の型ことば36を参照)。

*5:まち観のスピリットは、現場で学ぶことにあるが、事前に地図を見ておくと、その体験が豊かになることがある。地図を眺めて、面白そうな場所への手がかりを探そう。たとえば地図記号は、まちに散りばめられたさまざまな機能を俯瞰できる。何かの気づきがあるだろうか(まち観の型ことば10を参照)。

*6:コミュニティ感という概念も重要だ。たとえば水路を挟んで、人びとはどのように交流していたのか。あるいは、道に沿ってどのように集落の連なりがつくられていたのか。つながりかた・広がりかたを感じることで、今昔の目線が育つ。たとえば、まちの型ことば7を参照。

*7:まちの景観は変化している。だが、まちを歩いていると、時間の影響を受けずそのままの状態が保たれている場所もある。神社・寺の境内は、それを感じることのできる場所になるはずだ(まち観の型ことば6を参照)。

*8:当然、まちにも品格がある。それは、物理的な空間としての設計だけでなく、人びとの「手入れ」の具合によって感じられるものかもしれない。つまり、私たちは、モノの状態を観察しながらも、それに関わった人びとの痕跡を認知しているのだ。植栽の手入れや地面のゴミなど、わかりやすい手がかりはたくさんある。

*9:変化しない場所もあるが、過去の風景をイメージできないほどに、大きく風景が改訂されている場所もある。この日のまち歩きでは、奇妙なデザインのマンション・ビルが目立った。まるで実験をしているかのように見えた。デザインの善し悪しは、外観の好みで語ることもあるが、やはり歩きながら風景を味わうこと、ひとつの連なりとしてまちを認識することをふまえると、ある程度の秩序は欲しいものだ(まち観の型ことば47を参照)。