まちに還すコミュニケーション

場のチカラ プロジェクト|Camp as a participartory mode of learning.

ひがしなりキャンプ

東成で考える・つくる

ぼくたちの「キャンプ」は続きます。あたらしいメンバーを加えて、新年度がはじまりました。今回は、大阪市東成区の人びとを対象に取材をおこないます。その結果をもとに滞在中に編集作業をすすめて、ポスター/ビデオなどを制作する予定です。

東成とのつながりは、不思議なご縁から生まれました。2017年の9月、ぼくは「地域活性学会」の第9回研究大会に参加するため、島根県(島根県立大学 浜田キャンパス)まで出かけました。そこで「産学官連携における〈自立〉と〈自律〉に関する考察」というタイトルで、「深浦キャンプ」を事例に報告をしたとき*1、その部屋にいたのが、かつて東成区に在職していたという金谷さんでした。全国を巡りながらすすめているポスターづくりのプロジェクトについて、いろいろとコメントやアドバイスをいただきました。その後、金谷さんを介して、東成区長の麻野さんとつながり、昨年の暮れに東京で麻野区長と歓談。今年2月には、(日帰りで慌ただしかったものの)下見に出かけてきました。*2
じつは、このような展開は、何度かありました。これまでの活動の蓄積がきっかけになって、人から人へとつながって、つぎの逗留地が決まります。「人ありき」で、ぼくたちの「キャンプ」の計画がかたどられるのです。

f:id:who-me:20180414062651p:plain「調査者」という立場を放棄し、「関与者」になることを目指し、ボランタリーにかかわりながら、人と人とのゆるやかな連係を生み出す。「キャンプ」という活動では、可能なかぎりぼくたちの〈自律性〉を優先したかかわり方を実現しようと試みている。「契約関係」に応えようという責任感・使命感を過度に抱くことなく、もう少し自由にふるまうことのできる学習環境を目指す。すぐさま何らかの変化を生むような活動にはならないかもしれないが、地域のさまざまな「資源(resource)」を、「資産(asset)」に変えるためのきっかけづくりになるような、コミュニケーションの機会は提供できるはずだ。

 

わずかな滞在時間ですが、「ちいさなメディア」をつくること・流通させることの可能性や意味について考えてみたいと思います。最終日(13日)には、ポスター展と成果報告会をおこなう予定です。

  • 日時:2018年5月11日(金)〜13日(日)(原則として現地集合・現地解散)
  • 場所:東成区(大阪府
  • 本部(作業):東成区役所(〒537-0014 大阪府大阪市東成区大今里西2-8-4
  • 参加メンバー(加藤文俊研究室)17名(学部生 15名;大学院生 1名;教員 1名)

スケジュール(暫定版)

5月11日(金)

  • チェックイン
  • 17:00 集合
  • 19:00 夕食

5月12日(土)

  • 10:00ごろ〜 フィールドワーク・インタビュー(グループごとに行動・取材先に応じて随時スタート):2名のグループで、インタビュー先に出かけて話を聞きます。もちろん、写真も撮ります。
  • 14:00ごろ〜 アイデア出し・デザイン作業(グループごとに行動):フィールドワークで集めてきた素材をもとに、ポスターのデザイン/編集作業をすすめます。
  • 17:30ごろ 夕食
  • 19:00ごろ〜 アイデア出し・デザイン作業(つづき)

5月13日(日)

  • 8:00 ポスターデータ入稿:データ提出(時間厳守)→ 印刷へ
  • 10:00〜 展示準備・設営 会場:ふれ愛パンジー(東成区役所1F)
  • 12:00ごろ〜 「東成の人びとのポスター展」
    (12:30〜 成果報告会;13:30〜 ふり返りビデオ鑑賞・まとめと講評)
  • 14:00ごろ 片づけ・解散

ひがしなりの人びとのポスター展

制作したポスターは、その後2週間ほど東成区役所で展示される予定です。

  • 日時:2018年5月14日(月)〜31日(木)
  • 会場:ふれ愛パンジー(東成区役所1F)

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 2018年2月9日(金):下見に行ったときに東成区役所の近くで見かけた「いけず石」。歩きながら、ふと「いけずなまち」プロジェクト(2016)を思い出していました。 http://vanotica.net/ichbb2/

*1:加藤文俊(2017)「産学官連携における〈自立〉と〈自律〉に関する考察」地域活性学会第9回研究大会(島根) http://www.hosei-web.jp/chiiki/taikai/170315/r_03.pdf

*2:記念撮影しました。 https://www.facebook.com/higashinari.machimiryoku/photos/a.1855681971424249.1073741828.1853753044950475/1986702981655480/?type=3&theater 

Thai Camp (Modernological Observation)

Modernological Observation|泰風俗採集

Thursday, March 8 - Monday, March 12|Thai Camp

While working on poster designs and site visits, each of the participants conducted a modernological observation in Thailand.  Modernology (考現学), proposed and developed by Wajiro Kon (1888-1973), aims to understand our everyday ordinary occurences through detailed observations.  Here is a series of sketches that illustrates the days of life in Bangkok.

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2018 年3月8日(木)〜12日(月)にかけて実施した「タイキャンプ」(特別研究プロジェクトB)では、ポスターづくりなどをすすめつつ、並行して、各自が「泰風俗採集」をおこなった。取材や編集作業の合間にバンコクのまちを歩き、それぞれの目線で、気になったモノ・コトを採集する。「風俗採集」は、さまざまなモノや人びとのふるまいをとおして、まちを読み解く試みである。日常生活をとりまくささやかなモノ・コトへの「まなざし」を育むと、まちはちがって見えてくる。

◎泰風俗採集(2018年3月)テキストともに編集した冊子のPDF版 → 準備中です

- 文と画(掲載順):保浦眞莉子・小梶直・田島里桃・塙佳徳・Nuey Pitcha Suphantarida・比留川路乃・松室雄大
- 編集・発行:慶應義塾大学 環境情報学部 加藤文俊研究室

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【屋台の食べ物】

 

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【移動する屋台は店主の愛で溢れている】

 

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【眉毛と地域】

 

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【スクラップ・アンド・ビルド】

 

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【Gastronomic Classroom】

 

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【うけいれる】

 

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【堂々と溢れる】

 

ふたたび、フーカットへ。 (3)

Day 3: 2018年3月14日(水)

フーカットで目覚めた。朝ごはんを食べてから、家庭訪問。
聞けば、"Dream Class"の日を、(文字どおり)指折り数えて楽しみにしているらしい。コミュニケーションに不自由があるかもしれないが、コミュニケーションへの欲求は絶えることがない。ハンディキャップをもつ子どもたちのコミュニケーション欲求が、おのずと身体に表れる。そのエネルギーが、まぶしい笑顔になって迫ってくる。

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昨日も書いたが、この活動は、もはや状況を理解し記述するだけの調査ではなく、積極的な介入をともなう社会実践なのだ。フィールドワークにおいては、(調査者が)情報提供者とつねに適切な距離を保つこと、過度に感情移入しないことが大切だと教わる場合が多い(実際にぼく自身も、いまではそう教える立場になった)。それはもちろん重要なのだが、いっぽうで、もう一歩先にすすんでみること、じぶんの感情の揺らぎを味わうことにも関心がある。注意ぶかく、状況に「踏み込む」ことで理解できることはたくさんある。なにより、フィールドワーカーは、一人の人間なのだ。だから、じぶんの感情の流れや身体の反応に素直に従うことも大切なはずだ。

梅垣さんとChiさんが、子どもの父親と話をしているのを眺める。もちろん、大学の教員・専門家として、その知識や経験にもとづくアドバイスをしていることはたしかだ。その声に耳を傾ければ、さまざまな事例に照らして、じぶんたちの個別の状況を理解し、より広い文脈に位置づけることができるだろう。同時に、それは感情が充填された、「人として」の介入に見えた。アドバイスが「正解」をもたらすかどうかはわからないが、これまでの知見をもとに、言うべきことは言わなければならないのだろう。理屈なしに、そうせざるえない。社会調査には、そういう場面が訪れることがある。
コミュニケーションは、パートナーを執拗に求める。だから、大人たちこそが、「伴走者」であることを自覚しなければならない。それが、大切なメッセージだ。

朝は涼しかったが、すでに暑くなっている。11時ごろに空港へ。今回は、毎日のようにメンバーの出入りがあるようで、スケジュールのなかに、空港への行き来が組み込まれている。メンバーが一人が増えて、お昼ごはん。しばらくしてから、ふたたび空港へ。こんどは、ぼくの番だ。15:30過ぎの飛行機でホーチミンに行き、さらに東京に向かう。

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旅の途中で写真をアップしていたとおり、今回もたくさん食べた。どうもぼくの身体はベトナム料理と相性がいいみたいで、快調だ。タイでのプロジェクトの帰りで、ちょっと疲れてはいるが、今年もまた来ることができてよかった。ありがとうございました。🐸

(おわり)

ふたたび、フーカットへ。 (2)

Day 2: 2018年3月13日(火)

午前4時に出発。ハノイは、市街から空港までのアクセスが面倒だ。さすがにこの時間だと、ひっそりしている。渋滞することもなく、30分ほどで空港に着いた。定刻どおりに出発。ふたたび、フーカット(Phù Cát)へ。ふだんも早起きだが、さすがに今朝は早すぎた。飛行時間は1時間半。席についたらほどなく寝てしまい、気づけばまもなく着陸体制に入るところだった。1年ぶり。窓の外に緑色が広がって、ちょっと懐かしい気持ちになった。

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タラップを下りると、立派な国際線のターミナルビルの姿があった。昨年も工事中だったはずだが、まったく気づいていなかった。まだ仮囲いがあるものの、オープンはそう遠くないだろう。ビルの外側にも椰子の木が植えられ、リゾート地の雰囲気がつくられつつある。

11時ごろの便(梅垣さんほか、参加メンバーが乗っている)が到着するまでのあいだに、朝ごはん。これも、去年行った店だ。目玉焼きには、パクチーとちょっと甘い醤油を。そしてバゲットとコーヒー。この小ぶりのバゲットは、やはり美味しい。いちどホテルに行ってひと休み。ふたたび空港に戻って、みなさんを迎える。
今朝、着いたときには涼しくてしのぎやすかったが、すでに気温が上がり、暑くなっている。バンコクと同じくらいのところまで南下したのだ。お昼は、ホテルのそばの店で。大きなテーブルに料理がたくさん並び、みんなで箸をのばして食べるスタイル。これは、なかなかいい。

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午後は、クルマに乗って(これも、1年ぶりのあのワンボックス、あのドライバー)、いくつかの家庭を訪問した。最初が、スアンくんの家だった。彼のことについては、昨年書いたとおり(→ フーカットで考えた。(4): 2017)だ。あれから、ぼくはスアンくんとFacebookで「友だち」になり、ときどきやりとりしてきた。いつも他愛のないメッセージばかりだが、それでも遠くに暮らす「友だち」とつながっている感覚があった。そして、再会。
1時間ほど、順番に質問したりされたりしながら、スアンくんと過ごした。昨年、本を出したことがどうやら「美談」として語られているようだ。ベッドの上で生まれた画と文が、形になる。たしかに、それは特別なことのように思える。だが、話していると、文化も暮らしもちがえど、どこにでもいそうな17歳だという気になってくる。その意味では、「ふつう」の背伸びしがちなティーンエージャーだ。ぼくと、ひとしきり話したあと、スアンくんは、ぼくを「モダンでオフィスタイプでナイーヴだ」と言った。どこから、どのようにその手がかりをえたのかはわからない。おみやげに持ってきた、梅佳代の『うめめ』をプレゼントした。どこにでもありそうな、何気ない(ちょっと微笑ましい)日本の暮らしを眺めてもらおう。

何軒かめぐりながら、"Dream Class"の生徒たちを乗せて移動。日が傾いてきた。のんびりとした風情で、落花生の畑がつづく。新築の家に招かれて、食事をごちそうになった。ラグの上に、たくさんの料理が賑やかに並んだ。何度も乾杯した。

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そして、ホテルに戻ってからミーティング。きょう一日をふり返った。このふり返りの時間は大切だ。もともと、この活動は(昨年も)「EBAフィールドワーク」と呼ばれている。「フィールドワーク」という調査の一環で、何軒もの家を訪問して話を聞く。"Dream Class"の生徒たち、そしてその両親や家族が、どのように暮らしているのかを追うのだ。意識が変わったり、さらには行動が変わったり、それは一人ひとりの顔つきに表れる場合もあるし、ピカピカの新築の家からうかがい知れることもある。ぼくたちの観察力、想像力が試されている。

ミーティングでは、調査者の「立ち位置」のようなことが話題になった。定期的に家庭訪問をつづけていると、状況にかかわりをもたずにいられなくなる。一定の距離を置いた〈観察者〉でいることは難しくなり、一人ひとりと共に状況を分かち合う〈関与者〉になる。当然、感情的なつながりもできる。なにより、これは人びとの変化や成長につき合うプロジェクトなのだ。ぼくたちは、すでに10年という長いかかわりのなかにいる。この先、”Dream Class”の一人ひとりが、さまざまな選択の岐路に立ったとき、ぼくたちはどうふるまえばよいのか。どうふるまいたいと考えているのか。ふたたび、「終わらない(終わらせることのできない)」プロジェクトに触れた。🐶

(つづく)

ふたたび、フーカットへ。 (1)

Day 1: 2018年3月12日(月)

「タイキャンプ」は無事に終わり、昼ごろに解散となった(すでに述べたとおり、ぼくたちは、いつも現地集合・現地解散だ)。でも、旅はまだ終わらない。
昨年のちょうど今ごろ、「EBAプログラム」のフィールドワークに参加した。今年も、13日から同様のフィールドワークがおこなわれると聞いたので、ベトナムを経由してから日本に戻ることにした(とはいえ、仕事があるので参加できるのは実質1日だけ)。去年の旅は、いろいろなことを考えるきっかけになった。もう一度、足をはこんでみたいと思った。ベトナム料理に惹かれていることもたしかだが、なによりも、再会に期待していた。

空港で食事をしてから、ハノイ行きの便に乗る。目的地は、フーカット(Phù Cát)だ。地図を見ると、バンコクからそのまま東に飛べばフーカットなのだが、乗り継ぎの都合で今晩はハノイで一泊する。ハノイへは、2時間弱。1000kmほど北へ移動することになる。

午後6時ごろ、ハノイに到着した。気温は20℃くらい。バンコクの熱気が、うそのようだ。
ターミナルのビルを出ると、すぐに怪しげな客引きが寄ってきたが、無視してタクシー乗り場へ。乗り込んだら、やはり英語がまったく通じなかった。アドレスを書いた紙を渡したものの、見ようともせずに発車させたので、ちょっと不安になる。しばらくするとドライバーは運転しながら電話をかけて、なにやら話をしたあと、その電話をぼくに手渡した。なるほど、電話の向こうの誰かに英語で行き先を伝えて、通訳してもらうということか。相手はインドなまりの英語で、わかりづらい。というより、こっちの言っていることがちゃんと伝わったのかどうか。
じぶんのスマホで地図をみたら、方角はまちがっていない。まぁなんとかなるだろうと思って、シートに身を沈めた。しばらく高速道路の退屈な風景がつづいていたが、やがてハノイの市街に入った。オートバイが、ぶつかりそうになりながら、タクシーを追い越してゆく。

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Chiさんと合流し、ハノイのまちへ。セント・ジョセフ教会(Nhà Thờ Lớn Hà Nội)にほど近い、賑やかな界隈だ。さっそく、フォーをごちそうになる。そのあとは、「エッグコーヒー」で有名なGiang Caféへ。ぼくは知らなかったのだが、どうやらミルクが希少だったために、代わりに卵黄をコーヒーに入れたのがはじまりらしい。「エッグコーヒー」と聞くとちょっと驚くが、考えてみれば、ミルクセーキに卵黄を入れるのだから、理屈はわかるような気もする。見かけは、わからない(そもそも店内が暗いので、よく見えない)。スプーンでよくかき混ぜると、コーヒーはクリームのようになった。甘い。カフェの屋上からハノイのまちを眺めながら「エッグコーヒー」を飲んだ。とてもしのぎやすく、暑いバンコクでの疲れが少し癒やされるようだった。甘くて、飲み干すことはできなかった。
ホアンキエム湖(Hồ Hoàn Kiếm)のほとりをぶらぶらしながら、ホテルまで歩いた。明朝、6時ごろの飛行機でフーカットに向かう。☕️

(つづく)

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フーカットで考えた(2017) http://camp.yaboten.net/archive/category/EBA