まちに還すコミュニケーション

場のチカラ プロジェクト|Camp as a participartory mode of learning.

深浦キャンプ3(ドキュメント)

ビデオでふり返る

5月12日(金)から14日(日)の成果報告会までをつないだダイジェストビデオです。このビデオは、現地にいるあいだに撮影と編集を済ませ、「キャンプ」のプログラムのなかで上映・鑑賞する「リアルタイム・ドキュメンテーション」の試みです。

◉撮影・編集:Nuey Pitcha Suphantarida・吉澤茉里奈・家洞李沙

深浦キャンプ3(ポスター)

 ポスターをつくる

今回は、滞在中に7名にインタビューをおこない、ひと晩かけてポスターをつくりました。“ポスター展のポスター”をふくめて8枚。取材にご協力いただいた深浦のみなさま、ありがとうございました。

深浦の人びとのポスター展3

「深浦キャンプ3」で制作したポスターを展示します。* 14日(日)11:00から、成果報告会をおこないます。以降のポスター掲出(ポスター展)については未定です。

  • 日時: 2017年5月14日(日)11:00〜
  • 会場:深浦町役場 1Fロビー(〒038-2324 青森県西津軽郡深浦町大字深浦字苗代沢84-2)

f:id:who-me:20211103130726j:plain2017年5月14日(日):「深浦の人びとのポスター展3」成果報告会。 #fukap3

 

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深浦の人びとのポスター展3

 

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ポスター制作:塙佳憲・佐々木瞳

 

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ポスター制作:津田ひかる・最上紗也子

 

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ポスター制作:保浦眞莉子・柿嶋夏海

 

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ポスター制作:阿曽沼陽登・金美莉

 

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ポスター制作:田島里桃・比留川路乃

 

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ポスター制作:橋本彩香・中原慎弥

 

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ポスター制作:和田悠佑・高橋茉鈴

 

深浦キャンプ3

深浦で考える・つくる*1

ぼくたちの「キャンプ」は続きます。2017年度のはじまりは、深浦(青森県)へ。一昨年度、昨年度につづいて、3度目の深浦です。これまでと同様、参加者は2〜3名のグループに分かれてまちの人びとへのインタビューやフィールドワークをおこない、滞在中に編集作業をすすめて、ポスター/ビデオなどを制作する予定です。深浦で暮らす人びとの考え方、はたらきかた、まちへの想いをとらえ、まちの魅力を綴る試みです。

わずかな滞在時間ですが、「ちいさなメディア」をつくること・流通させることの可能性、そして楽しさについて考えてみたいと思います。最終日(14日)には、ポスター展と成果報告会をおこなう予定です。

  • 日時:2017年5月12日(金)〜14日(日) * 12日はオリエンテーションのみ(原則として現地集合・現地解散)

  • 場所:深浦町(青森県西津軽郡

  • 本部(作業・宿泊):地産地消の宿 白神 海彦山彦館(〒038-2206 青森県西津軽郡深浦町大字松神字下浜松33-25)

  • 参加メンバー(加藤文俊研究室)18名(予定)(教員 1名;学部生 17名)

https://www.instagram.com/p/BMsylydDa48/

深浦湊は、北前船の「風待ち」の港として知られている。しばし帆をたたんで、順風を待つ。山の上から海を臨みながら、出港の日をうかがっていたのだろうか。船は、たんにモノだけをはこんでいたのではない。文化が行き来し、この界隈には多彩な交流があったはずだ。きょうは晴れて、海はおだやかだ。 #fukap2(2016年11月12日)

 

 

スケジュール(暫定版)

5月12日(金)

  • チェックイン
  • 18:00 地産地消の宿 白神 海彦山彦館 集合(〒038-2206 青森県西津軽郡深浦町大字松神字下浜松33-25)
  • 19:30〜 夕食
  • 20:00〜 オリエンテーション

5月13日(土)

  • 10:00ごろ〜 フィールドワーク・インタビュー(グループごとに行動・取材先に応じて随時スタート):2〜3名のグループで、インタビュー先に出かけて話を聞きます。もちろん、写真も撮ります。
  • 15:30〜 アイデア出し・デザイン作業(グループごとに行動):フィールドワークで集めてきた素材をもとに、ポスターのデザイン/編集作業をすすめます。 @海彦山彦館
  • 18:00ごろ 夕食
  • 20:00〜 デザイン作業/ブラッシュアップ:フィードバックをふまえて引き続き作業。

5月14日(日)

  • 8:00 ポスターデータ入稿:データ提出(時間厳守)
  • 8:30〜 ポスター出力
  • 9:30〜 展示準備・設営 @深浦町役場 1Fロビー(予定)(〒038-2324 青森県西津軽郡深浦町大字深浦字苗代沢84-2)
  • 11:00〜 「深浦の人びとのポスター展III」発表会・交流会 @深浦町役場 1Fロビー(予定)(11:30〜 発表会;12:30〜 ふり返りビデオ鑑賞・まとめと講評)
  • 13:30ごろ 片づけ・解散

https://www.instagram.com/p/BMqnXWjDjS9/

去年の舟(加藤研第3次バブル)

参考(2016年度)

*1:「深浦キャンプ」は、深浦町・宿泊予約サイト「楽天トラベル」(運営会社:楽天株式会社)・加藤文俊研究室(慶應義塾大学)の共同プロジェクトとして実施されます。

フーカットで考えた。(5)

Day 5: 2017年3月13日(月)

早くも最終日になった*1。きょうは遅めのスタートで、朝食のあと、スアンくんの家を訪ねた。本が出たことを、とても喜んでいるようすで、ちょっと誇らしげな表情だった。15日には、ホーチミンでも出版記念のイベントがある。みんなで本に寄せ書きをして彼に渡し、記念撮影をする。

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そのあとに、もう一軒。あっという間だったが、今回の滞在中に10軒の家庭訪問をしたことになる。加藤研ですすめているフィールドワークでは、まちに暮らす人びとを訪ねて、だいたい90分から2時間ほどのインタビューをおこなう。そして、翌朝までに、その成果をまとめる作業に入る。今回は、おなじくらいのボリュームのインタビューを、一日に3軒程度こなしているので、なかなかハードだ。とくに、通訳をしながらかかわってくれたマックスは、相当なエネルギーをつかったにちがいない。心から感謝したい。ありがとう。

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このあと、プログラムに参加している学生たちは、それぞれの家で見聞きしたことをまとめることになる。どのような成果物ができあがるのか(期待されているのか)、ぼくにはわからないが、これほどに密度の濃いフィールドワークに参加できるのはとても贅沢なことだ。フィールドノートを読み返しながら、一つひとつの〈ものがたり〉を、ていねいに綴ってほしいと思う。詳細な記述は、個別具体的な暮らしから、フーカットという地域、さらには枯葉剤のことへと、ぼくたちの洞察を促すはずだ。

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今回、ぼくはもっぱら〈外側〉からフィールドワークを眺めていた。だから、この5日間の記録では、それぞれの家で感じたこと、気づいたことにはほとんど触れていないが、とても勉強になった。“Dream Class”という試みのことはもちろんだが、フィールドワークのこと、そして「こたえ」のない問題について、想像力をかき立てられた。10年かけて培われてきた信頼関係のもとに、全体のプログラムが組み立てられていたので、不安を感じることはなかった。食欲も好奇心も、すこぶる快調だった。

フィールドワークは、たんに現場に行けばよいというものではない。そのことについても、あらためて考えさせられた。直接体験はもちろんだが、あとで、きちんとその体験をふり返ることこそが大切なのだ。そのとき必要になるのは、豊かな想像力だ。

スアンくんは、ベッドのなかで想像力を羽ばたかせ、ぼくたちよりも、はるか遠くへ出かけているにちがいない。きっと、まだ見ぬ〈世界〉をつねに想像するようにと、ぼくたちを激励しているのだ。🐸

 (おわり)

*1:EBAのプログラム自体は16日までだが、ぼくは、午後の飛行機でホーチミンに行き、深夜の便で東京に向かう予定。

フーカットで考えた。(4)

Day 4: 2017年3月12日(日)

日曜日の朝も、早起きではじまった。今朝は6:30ごろにホテルを出て、キャットリン地区(Cắt Trinh)に向かう。昨日の「教室」とくらべてみると、こちらの“Dream Class”(2012年10月に開校)は、はるかにリラックスした雰囲気に見えた。子どもたちは、絵を描いたり、本を読んだり、踊ったり、それぞれが気ままに過ごしているようだった。誰かがすすんで統率しているふうでもなく、バラバラでもなく。ずっと、楽しそうな声が聞こえていた。早いうちから気温が上がり、影と日向のコントラストも強くなった。

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今回のプロジェクトでは、スアンくんの本の出版記念イベントも、重要な位置を占めている。スアンくんは、ほとんどベッドから動くことができない。あるとき、チーさんが彼のちいさなノートを見て、物語が綴られている(イラストも描かれている)のを見つけたのだという。それをきっかけに、出版社をさがし、イラストに少し手を入れて準備をすすめ、ついにスアンくんの本が出版されることになったのだ。「教室」とは別の会議室には刷り上がったばかりの本が並び、壁には宣伝用のポスターが貼られた。きょうの“Dream Class”に合わせて、スアンくんも学校に来て、本の宣伝と販売をおこなうという趣向だ(ぼくも、本にサインをしてもらった!)。

ふたたびテレビ局のクルーの話になるが、やはり「彼ら」は、どうしてもドラマチックな「画」を撮りたいのだ。だが、きょうという一日が、感傷に満ちた「いいイベント」として描かれては困る。ぼくたちの多くは、そういう気持ちをいだいていたのではないかと思う。
象徴的だったのは、梅垣研の学生たちが、無遠慮なテレビのカメラマンに対して繊細に反応し、現場が干渉されることへの抵抗感を露わにしていた場面だ。たしかに、「彼ら」のふるまいは、身勝手に見えた。いちど大学生たちを教室から出して、子どもたちだけの「画」を撮ろうという場面さえあった(つまりは、不自然なカットだ)。もちろん、日本から来た大学生たちは、毎週顔を出しているわけではないが、この日は、大学生たちとともに「教室」がつくられるのが自然なかたちだったはずだ。
じつは、こうしたふるまいは、梅垣研の学生たちがこのプロジェクトの「成員」になっているという証でもある。プロデューサーやカメラマンの傍若無人さを腹立たしく思う。それは、これまでの経験をとおして、〈内側〉の視座を獲得したことの表れなのだ。

ぼくは、一歩下がって見ていた。じつは、昨日もきょうも、ぼくは“Dream Class”のようすを外から眺めてはいたものの、「教室」のなかには一歩も入らなかった。入ることができなかった、と言ったほうが正しいのかもしれない。それは、ぼくがまだ〈外側〉にいるということだ。プロジェクトの成り立ちや意義は、少しずつわかってきた。子どもたちの家庭のようすもじかに見ることができたので、フーカットでの暮らしも、そして、ハンディキャップをもった子どもたちのことも、身体で理解しはじめていた。だが、今回は「教室」のなかには入らないことにした。もちろん、テレビ局のカメラマンの乱暴さには閉口気味だったが、同時に、「教室」にいる子どもたちからすれば、ぼく自身もさほど変わらない存在のように思えたからだ。

そんな気持ちになったのは、ぼく自身が、じぶんなりに「教室」をあずかっている立場だということと無関係ではないだろう。べつに「教室」を聖域のように扱うつもりはない。実際に、じぶんがそれほどの「教室」をつくっているとは思っていない。だがそれでも、無遠慮に「教室」に踏み込まれたときの気持ちはわかる。少しナイーヴすぎるかもしれないが、今回は距離が必要だった。

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ランチのあとでひと休みしてから、ビーチ(bãi tắm cát hải)に出かけた。ぼくは、明日の飛行機でフーカットを発つことになっている。プログラムはまだつづくが、なんとなくひと区切りついた気分になっていた。今夜は、荷造りをしなければならない。細かくてきれいな砂の上を歩いているうちに、少しずつ潮が満ちてきた。🇻🇳

(つづく)