ビデオでふり返る
5月12日(金)から14日(日)の成果報告会までをつないだダイジェストビデオです。このビデオは、現地にいるあいだに撮影と編集を済ませ、「キャンプ」のプログラムのなかで上映・鑑賞する「リアルタイム・ドキュメンテーション」の試みです。
◉撮影・編集:Nuey Pitcha Suphantarida・吉澤茉里奈・家洞李沙
5月12日(金)から14日(日)の成果報告会までをつないだダイジェストビデオです。このビデオは、現地にいるあいだに撮影と編集を済ませ、「キャンプ」のプログラムのなかで上映・鑑賞する「リアルタイム・ドキュメンテーション」の試みです。
◉撮影・編集:Nuey Pitcha Suphantarida・吉澤茉里奈・家洞李沙
今回は、滞在中に7名にインタビューをおこない、ひと晩かけてポスターをつくりました。“ポスター展のポスター”をふくめて8枚。取材にご協力いただいた深浦のみなさま、ありがとうございました。
「深浦キャンプ3」で制作したポスターを展示します。* 14日(日)11:00から、成果報告会をおこないます。以降のポスター掲出(ポスター展)については未定です。
2017年5月14日(日):「深浦の人びとのポスター展3」成果報告会。 #fukap3
深浦の人びとのポスター展3
ポスター制作:塙佳憲・佐々木瞳
ポスター制作:津田ひかる・最上紗也子
ポスター制作:保浦眞莉子・柿嶋夏海
ポスター制作:阿曽沼陽登・金美莉
ポスター制作:田島里桃・比留川路乃
ポスター制作:橋本彩香・中原慎弥
ポスター制作:和田悠佑・高橋茉鈴
ぼくたちの「キャンプ」は続きます。2017年度のはじまりは、深浦(青森県)へ。一昨年度、昨年度につづいて、3度目の深浦です。これまでと同様、参加者は2〜3名のグループに分かれてまちの人びとへのインタビューやフィールドワークをおこない、滞在中に編集作業をすすめて、ポスター/ビデオなどを制作する予定です。深浦で暮らす人びとの考え方、はたらきかた、まちへの想いをとらえ、まちの魅力を綴る試みです。
わずかな滞在時間ですが、「ちいさなメディア」をつくること・流通させることの可能性、そして楽しさについて考えてみたいと思います。最終日(14日)には、ポスター展と成果報告会をおこなう予定です。
日時:2017年5月12日(金)〜14日(日) * 12日はオリエンテーションのみ(原則として現地集合・現地解散)
場所:深浦町(青森県西津軽郡)
本部(作業・宿泊):地産地消の宿 白神 海彦山彦館(〒038-2206 青森県西津軽郡深浦町大字松神字下浜松33-25)
参加メンバー(加藤文俊研究室)18名(予定)(教員 1名;学部生 17名)
5月12日(金)
5月13日(土)
5月14日(日)
去年の舟(加藤研第3次バブル)
参考(2016年度)
*1:「深浦キャンプ」は、深浦町・宿泊予約サイト「楽天トラベル」(運営会社:楽天株式会社)・加藤文俊研究室(慶應義塾大学)の共同プロジェクトとして実施されます。
早くも最終日になった*1。きょうは遅めのスタートで、朝食のあと、スアンくんの家を訪ねた。本が出たことを、とても喜んでいるようすで、ちょっと誇らしげな表情だった。15日には、ホーチミンでも出版記念のイベントがある。みんなで本に寄せ書きをして彼に渡し、記念撮影をする。
そのあとに、もう一軒。あっという間だったが、今回の滞在中に10軒の家庭訪問をしたことになる。加藤研ですすめているフィールドワークでは、まちに暮らす人びとを訪ねて、だいたい90分から2時間ほどのインタビューをおこなう。そして、翌朝までに、その成果をまとめる作業に入る。今回は、おなじくらいのボリュームのインタビューを、一日に3軒程度こなしているので、なかなかハードだ。とくに、通訳をしながらかかわってくれたマックスは、相当なエネルギーをつかったにちがいない。心から感謝したい。ありがとう。
このあと、プログラムに参加している学生たちは、それぞれの家で見聞きしたことをまとめることになる。どのような成果物ができあがるのか(期待されているのか)、ぼくにはわからないが、これほどに密度の濃いフィールドワークに参加できるのはとても贅沢なことだ。フィールドノートを読み返しながら、一つひとつの〈ものがたり〉を、ていねいに綴ってほしいと思う。詳細な記述は、個別具体的な暮らしから、フーカットという地域、さらには枯葉剤のことへと、ぼくたちの洞察を促すはずだ。
今回、ぼくはもっぱら〈外側〉からフィールドワークを眺めていた。だから、この5日間の記録では、それぞれの家で感じたこと、気づいたことにはほとんど触れていないが、とても勉強になった。“Dream Class”という試みのことはもちろんだが、フィールドワークのこと、そして「こたえ」のない問題について、想像力をかき立てられた。10年かけて培われてきた信頼関係のもとに、全体のプログラムが組み立てられていたので、不安を感じることはなかった。食欲も好奇心も、すこぶる快調だった。
フィールドワークは、たんに現場に行けばよいというものではない。そのことについても、あらためて考えさせられた。直接体験はもちろんだが、あとで、きちんとその体験をふり返ることこそが大切なのだ。そのとき必要になるのは、豊かな想像力だ。
スアンくんは、ベッドのなかで想像力を羽ばたかせ、ぼくたちよりも、はるか遠くへ出かけているにちがいない。きっと、まだ見ぬ〈世界〉をつねに想像するようにと、ぼくたちを激励しているのだ。🐸
(おわり)
*1:EBAのプログラム自体は16日までだが、ぼくは、午後の飛行機でホーチミンに行き、深夜の便で東京に向かう予定。
日曜日の朝も、早起きではじまった。今朝は6:30ごろにホテルを出て、キャットリン地区(Cắt Trinh)に向かう。昨日の「教室」とくらべてみると、こちらの“Dream Class”(2012年10月に開校)は、はるかにリラックスした雰囲気に見えた。子どもたちは、絵を描いたり、本を読んだり、踊ったり、それぞれが気ままに過ごしているようだった。誰かがすすんで統率しているふうでもなく、バラバラでもなく。ずっと、楽しそうな声が聞こえていた。早いうちから気温が上がり、影と日向のコントラストも強くなった。
今回のプロジェクトでは、スアンくんの本の出版記念イベントも、重要な位置を占めている。スアンくんは、ほとんどベッドから動くことができない。あるとき、チーさんが彼のちいさなノートを見て、物語が綴られている(イラストも描かれている)のを見つけたのだという。それをきっかけに、出版社をさがし、イラストに少し手を入れて準備をすすめ、ついにスアンくんの本が出版されることになったのだ。「教室」とは別の会議室には刷り上がったばかりの本が並び、壁には宣伝用のポスターが貼られた。きょうの“Dream Class”に合わせて、スアンくんも学校に来て、本の宣伝と販売をおこなうという趣向だ(ぼくも、本にサインをしてもらった!)。
ふたたびテレビ局のクルーの話になるが、やはり「彼ら」は、どうしてもドラマチックな「画」を撮りたいのだ。だが、きょうという一日が、感傷に満ちた「いいイベント」として描かれては困る。ぼくたちの多くは、そういう気持ちをいだいていたのではないかと思う。
象徴的だったのは、梅垣研の学生たちが、無遠慮なテレビのカメラマンに対して繊細に反応し、現場が干渉されることへの抵抗感を露わにしていた場面だ。たしかに、「彼ら」のふるまいは、身勝手に見えた。いちど大学生たちを教室から出して、子どもたちだけの「画」を撮ろうという場面さえあった(つまりは、不自然なカットだ)。もちろん、日本から来た大学生たちは、毎週顔を出しているわけではないが、この日は、大学生たちとともに「教室」がつくられるのが自然なかたちだったはずだ。
じつは、こうしたふるまいは、梅垣研の学生たちがこのプロジェクトの「成員」になっているという証でもある。プロデューサーやカメラマンの傍若無人さを腹立たしく思う。それは、これまでの経験をとおして、〈内側〉の視座を獲得したことの表れなのだ。
ぼくは、一歩下がって見ていた。じつは、昨日もきょうも、ぼくは“Dream Class”のようすを外から眺めてはいたものの、「教室」のなかには一歩も入らなかった。入ることができなかった、と言ったほうが正しいのかもしれない。それは、ぼくがまだ〈外側〉にいるということだ。プロジェクトの成り立ちや意義は、少しずつわかってきた。子どもたちの家庭のようすもじかに見ることができたので、フーカットでの暮らしも、そして、ハンディキャップをもった子どもたちのことも、身体で理解しはじめていた。だが、今回は「教室」のなかには入らないことにした。もちろん、テレビ局のカメラマンの乱暴さには閉口気味だったが、同時に、「教室」にいる子どもたちからすれば、ぼく自身もさほど変わらない存在のように思えたからだ。
そんな気持ちになったのは、ぼく自身が、じぶんなりに「教室」をあずかっている立場だということと無関係ではないだろう。べつに「教室」を聖域のように扱うつもりはない。実際に、じぶんがそれほどの「教室」をつくっているとは思っていない。だがそれでも、無遠慮に「教室」に踏み込まれたときの気持ちはわかる。少しナイーヴすぎるかもしれないが、今回は距離が必要だった。
ランチのあとでひと休みしてから、ビーチ(bãi tắm cát hải)に出かけた。ぼくは、明日の飛行機でフーカットを発つことになっている。プログラムはまだつづくが、なんとなくひと区切りついた気分になっていた。今夜は、荷造りをしなければならない。細かくてきれいな砂の上を歩いているうちに、少しずつ潮が満ちてきた。🇻🇳
(つづく)