2024年5月26日(日)
6:00前に起床。すべてのデータが揃ったというメッセージが届いていたので、ひと安心。予報では曇り(晴れ)だったが、雨がぱらついている。今朝は、これからポスターを印刷するので(それがまずは大切)、プリンターをクルマに載せたままだと雨に濡れてしまうかもしれない。調べてみたら、9:30くらい(印刷をはじめる時刻)には、雨雲は移動しているはずだ。ひとまず朝ごはんは、コンビニでコーヒーとサンドウィッチを買って簡単に済ませた。
谷屋に着くと、空が少し明るくなってきたので、しばらくようすを見ることにした。でも、雨は弱まったり、また勢いを増したり。どうもはっきりしないので(そして、ずっとのんびり待っているわけにもいかず)、プリンターをクルマから降ろして、谷屋の軒下にはこんで印刷することにした。
今回は、全部で9枚ある。何度かインク交換やヘッドクリーニングのメッセージを受け取りつつも、印刷は順調にすすんだ。すでに、何度か「外」での印刷を試しているが、モバイルバッテリーで問題なく印刷できる。開始するときに100%充電の状態で、A1サイズのポスターを9枚印刷したあとでも、99%だった。せっかくなので、プリンターはクルマに載せたままポスターを印刷したかった(ぼくの勝手な、『顔たち、ところどころ』ごっことして)。
成果報告会と「ポスター展」は12:30からなので、その間は、会場づくりや報告の準備に充てることにしている。なんとなく間延びしてしまうのだが、準備の段階で、これまでにもいろいろと予期せぬことが起きた。だから、なるべく安全に、時間に余裕をもたせるようにしている。時刻になると、まちの人びとがやって来る。事前にその旨案内を出しているが、まちによって時間感覚がちがう。あるまちでは、告知していた時刻の10分くらい前にはみなさんがやって来て、予定どおりの動きを(暗に)求められた。別のまちでは、聞いたところ、記載されている開始時刻になったら家を出るくらいの感覚だといわれた。ここは、どうなのだろう。なんとなく、このまちは緩やかな感じではないかと想像していた。
印刷にくわえて、ポスターをどのように展示するか(掲出するか)を考えなければならない。これは、行き先(会場)によって、条件がことなる。たとえば、今回、作業や展示のために使えることになった谷屋(たんにゃ)は、1870年(明治3年)ごろに建てられたという由緒ある場所だ。改装して、あたらしい(まだぴかぴかの)木に貼り替えられているところもあるが、黒光りする柱や欄間を見ると、時代を感じる。ささやかながらもポスター展をひらくので、できあがったポスターを部屋を囲むように提げて、一覧できるようにしたい。ここでは、テープや釘の類いは使えない。いろいろ考えて、洗濯物用(物干し竿用)のクリップを使って、長押にはさんで留めることにした(じつは、昨日の段階で現場を見つつ、ホームセンターでクリップを買っておいた)。
ほぼ定刻にみなさんがやって来て、成果報告会がはじまった。順番にペアごとに昨日の取材先について説明し、どのように過ごしたかについて語る。ポスターを披露して、それを部屋に提げる。これは、いつもどおりの流れ。一枚一枚、説明がすすむごとに、部屋がポスターで彩られていった。
学生たちの報告は、たいてい持ち時間(各ペア3分くらいということになっている)には収まらない。ある種の高揚感につつまれているようで、学生たちは饒舌になる。それを目の当たりにするとき、濃密な時間を過ごしたことがわかる。ポスターの出来はもちろんだが、それ以上に、この最後の報告会のときの雰囲気で「キャンプ」の面白さを実感する。直接体験があると(そしてその直後は)、語りたくなるのは、ごく自然なことだ。
そのあとは、しばらく歓談の時間。ポスターの「モデル」になった人と、ポスターをつくった学生たちが、ポスターを眺めながら語らったり、記念撮影をしたりする。この時間が、とても好きだ。最初のきっかけづくりから下見、準備などもふくめ、すべてはこの時間のためにあるような、そんな気分になる。
そして、みんなでダイジェストビデオを観る。2泊3日の出来事をふり返ると、一人ひとりの体験が、短い時間に凝縮されていることがわかる。
雨はすでに上がって、晴れてきた。無事に予定していた活動は終わって、解散。多くの学生は、駅に向かっていそいそと移動しはじめた(一本逃すと、飛行機の出発時刻に間に合わなくなる)。
ぼくは、明日の船に乗る予定なので、もう一泊することになっていた。美波をあとにして、1時間ちょっとのドライブで徳島駅に到着。ホテルにチェックインしてから、ふたたび数名の学生たちと合流して、阿波尾鶏の店に行って食事をした。いつものことながら、「キャンプ」はあっという間に終わってしまう。