まちに還すコミュニケーション

場のチカラ プロジェクト|Camp as a participartory mode of learning.

いきなりジン2

2024年9月3日(火)・4日(水)

4月に実施した「いきなりジン」は、いろいろな意味で「いきなり」でした。なにより、新学期がはじまって間もないタイミングで、全然みんなのことも知らないという意味で、いきなり。そして、わずか3時間ほどでまち歩きから印刷までやるという慌ただしさも、(ゆっくり考える時間がなくて)いきなりという感じ。

今回の「いきなりジン2」は、それにくらべると時間に余裕があって、しかも個人作業にしたので、一人ひとりのペースで、のんびりとすすみました。大人数の「キャンプ」や合宿ではなく、今回は、少人数のこぢんまりとした集まりになりました。やはり、ごはんのときにみんなでキッチンでカウンターを囲むのは楽しいし、そこでのコミュニケーションは自然体になります。ゆるやかな時間の流れのなかで、無事に5つのZINE(折り本)が完成しました。

  • 日時:2024年9月3日(土)・4日(水)
  • 場所:滞在棟2(β2)+デザイン棟B(ドコモハウス)
  • 内容:じぶんの好きなテーマで、ZINE(エッセイ、写真集、食レポなど内容は自由)をつくる。A3サイズ(420*297mm)の用紙に両面印刷し、切る・折るの加工をして仕上げる折り本を考案する。
スケジュール・経過

9月3日(火)

  • 13:00 集合 オリエンテーション(滞在棟2)各自作業を開始
  • 19:00ごろ〜 夕食の準備・食事・片づけ
  • 21:00ごろ〜 ZINEをつくる

9月4日(水)

  • 9:00 チェックアウト → デザイン棟B(ドコモハウス)に移動
  • 9:30ごろ〜 ZINEをつくる
  • 12:00 印刷・加工(切る・折る)
  • 14:00ごろ〜 プレゼンテーション・講評会 ゲスト:寺内玲さん(Studio TRUE
  • 16:00ごろ 片づけ(撤収)・解散
いきなりつくったZINEたち

[01] 円環のなかを巡る(卒プロの8月)(篠原彩乃)

フィールドでの体験とその準備、データの取り込みを終えて、数週間経つと、フィールドでの「私はこういうことがしたかったんだ」という手応えとその嬉しさによる感情の高まりがにげていくような気がしていた。文章を書かなくちゃフィールドでの体験が色褪せてしまうと思ったけれど、文章を書いてもすべてを取りこぼさずのこしておくことができないという無力感があった。「いきなりジン2」で過ごした時間は、少しずつでも書いてかたちにしてみることから始められるのだと気づかせてくれた。

 

[02] fo_everyday_fuku_diary(小田文太郎)

その日の服装を写真で撮って、何か一言つけてインスタグラムに投稿している服の日記と、なぜ毎日服を記録しているのかについての文章をzineとしてまとめた。A3両面印刷で蛇腹に折ると右閉じの片手に収まる本になる。表紙をめくり全8ページの文章を読み終わってから縦や横に開くと日記の内容を読める仕掛けにした。文章は前半が卒業プロジェクトに向けて去年の12月に書いたもので、後半はキャンプの最中に書いたものだ。服の日記はこれからも続いていくので今後もzineとしてまとめていきたい。

 

[03] Minami(神作真由)

キャンプで訪れた美波の日記をまとめたいと思っていた。内容の加筆修正はあまりせず、当時の空気を反映させた文章のままにした。折り「本」という形にとらわれずとも、封筒をモチーフにA3用紙を縦に4分割して1日ごとに折りたたんでしまい込む形にした。自然物のテクスチャーを捉えた写真を多く撮っていたので、包み面は海岸の流木の写真を使用した。3日間それぞれ印象深い写真を配置し、案内となる記号を最低限にし、画像と文字組みで開き方を誘導できる。日程が増えても転用できる折り方を思いついたのがよかった。

 

[04] 2024春夏(矢野晶)

このZINEは、私が日記の中でとくに繰り返し話題にしている、サークル活動に関わる記述を拾いあげて制作した。オリエンテーリングという競技とサークルの仲間との関わりは、この半年常に私の生活の真ん中に存在していた。一方で、これによって生まれた悔しい、苦しい、嬉しい言葉には、どこにも行き場を持たせられずにいた。この機会にひとに読んでもらうものとして印刷してとじたことで、2024年の春夏をきちんと終わらせることができたと思う。折り方を工夫してつくったインデックスと、ポップな色味が気に入っている。

 

[05] 余白から考える(吉田優斗)

今回の印刷では縦横に3㎝ずつの余白が生まれる。憎いように思われるこの余白だが、見つめ直してみると案外良いものなのかもしれない。その気づきを与えてくれたのはかつて加藤先生がブログに掲載した{余白の理由(1)「余白」から考える}だ。そこでこの文章を用いて、A3用紙の余白をふんだんに使いつつ、使い勝手の良さを意識してZINEを作成した。折り方は誰もが分かるよう簡単にし、さらに10ページには問いを挿入して、読者自身の考えを書き込めるように空白を設けた。最終ページには私自身の考えを編集後記として記している。

※すべて、A3サイズに両面で印刷してから加工(切る・折る)します(詳細は後日追記します)。

参考