[特別研究プロジェクトB(2単位)]実施期間:2015年8月18日(火)・8月21日(金)〜23日(日)・9月15日(火)
概要
本研究プロジェクト(特別研究プロジェクトB)は、地域コミュニティの調査方法の設計および実践について、フィールドワークやワークショップをとおして学ぶものである。
私たちに比較的なじみ深いコミュニティ調査は、地域における諸問題を同定し、それに対する解決方法を探るというアプローチである。地域をめぐる問題状況のマッピングが行われ、対処方法や優先順位の検討、さらにはコストの試算・配分等についての議論がすすめられる。問題状況は、その規模や緊急性、抽象度に応じて分類されるが、Kretzmannら(1993)は、こうした“needs-driven”とも呼ぶべきアプローチ自体が、問題状況に向き合う当事者を必要以上に“クライアント化”する可能性があると指摘する。ひとたび地域コミュニティにおける課題が「問題」として提示され共有されると、当該の「問題」に関わるアクターやその役割関係が固定的になりがちだからである。また、地域固有の問題でありながら、不特定多数の人びとを「受け手」に想定した記述、報道がなされると、問題状況そのものが、あたかも「他人事」であるかのように対象化されることになる。
【地域資産のマッピング:Kretzman et.al. (1993) をもとに作成】
近年、アメリカ、オーストラリアを中心に、Asset-Based Community Developmentアプローチ(以下ABCDアプローチと呼ぶ)の実践が拡がりつつある。同アプローチは、地域におけるニーズを発掘し、それに対して「問題解決」を試みるという“needs-driven”の発想ではなく、まずは地域のもつ「資産」を熟知し、その潜在的な可能性を模索するものである。つまり、“capacity-focused”という立場から、地域に偏在する多様な「資産」の理解を試みることになる。ABCDアプローチでは、地域コミュニティが保有する「資産」を、個人の属性・能力、地域における集まり、地域の組織・施設から構成されるものとして位置づけ、地域の「強み」(潜在的な可能性)を可視化しようと試みる。
【写真提供:坂東真奈】
本プロジェクトでは、上記のような理論的動機にもとづき、地域コミュニティの調査設計のあり方について、実践的に学ぶものである。学生たちは、土佐山田町(高知県)でフィールドワークやインタビューを行い、滞在中に成果をまとめて報告を行う。(2015年7月3日現在、詳細については調整中。)
【地域資産のマッピング - 土佐山田 住み歩きMAP|画像提供:坂東真奈】
受入予定人数 15名程度
履修条件 (原則として)2015年度秋学期に加藤が担当する「研究会A」を履修予定であること。その他の場合は、加藤宛て(fk [at] sfc.keio.ac.jp)に連絡すること。
フィールドワーク(実習) 土佐山田でのフィールドワークは、現地集合・現地解散。
スケジュール(暫定版)
8月18日(火)オリエンテーション 場所:SFC
- オリエンテーション
- スケジュールの確認
- 事前の調査(ライブラリーワーク)
8月21日(金) 場所:土佐山田町(高知県)
- チェックイン
- 18:00 集合
- 18:30〜 夕食
- 20:00〜 オリエンテーション
8月22日(土) 場所:土佐山田町(高知県)
- 10:00ごろ〜 フィールドワーク・インタビュー(グループごとに行動・取材先に応じて随時スタート)
- 15:30〜 アイデア出し・デザイン作業(グループごとに行動)
- 18:00ごろ カレーキャラバンによる「炊き出し」 バリューかがみの店(予定)〒782-0035 高知県香美市土佐山田町百石町2-6-16
- 20:00〜 デザイン作業/ブラッシュアップ
8月23日(日) 場所:土佐山田町(高知県)
- 8:00 ポスターデータ入稿:データ提出(時間厳守)
- 8:30〜 ポスター出力
- 10:00〜 展示準備・設営 バリューかがみの店(イートインコーナー)(予定)〒782-0035 高知県香美市土佐山田町百石町2-6-16
- 11:00〜 「土佐山田の人びとのポスター展」発表会・交流会(11:30〜 成果報告会・ゲスト:梅原真さん(予定);12:30〜 ふり返りビデオ鑑賞・まとめと講評)
- 13:30ごろ 片づけ・解散
9月15日(火)ふり返り 場所:SFC
- 「特別研究プロジェクト」のふり返り
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