まちに還すコミュニケーション

場のチカラ プロジェクト|Camp as a participartory mode of learning.

桜丘フィールドワーク(1)

Day 1: はじまり

2018年8月5日(日)14:00〜(桜丘町+マリブ)

🌞第1日目。きょうも暑い。全員が揃ったので、まずは「渋谷の地図」を描いてもらうことにした。認知地図(メンタルマップ)についてはさまざまな研究があるが、プロジェクトをはじめるにあたって、学生たちの頭のなかに、どのような地図があるのかを記録しておこう。

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それぞれのメンタルマップについては、その場で回収したただけ。家に戻ってからスキャンしてみた。これについては、2日目以降に議論するつもりだが、やはりスクランブル交差点の存在が大きいのだろうか。ランドマークなどについても、あれこれと考えてみようと思う。なにより、(今回のプロジェクトが「桜丘フィールドワーク」であるにもかかわらず)「桜丘町」はみんなのメンタルマップには(ほとんど)描かれることがなかった。これは、ある程度は想像していた。かねてから思っていたが、「桜丘町」は、良くも悪くも、「渋谷」から少し切り離された存在なのかもしれない。

その上で、グールドの本*1のなかから、図版を何枚か紹介した。今回のプロジェクトでは、「桜丘的」なものへとみんなの意見やイメージを集約するというよりは、一人ひとりの「●●的な桜丘」を表現することを考えてみるつもりだ。以下、きょう(5日)の朝、気ままにつぶやいたメモ(一部改変):

  • 「●●的な」と言うとき、●●は、一人ひとりの生活者(あるいはグループ)だ。つまり、じぶん(たち)の個性で、〈モノ・コト〉をとらえるということ。だから、秋学期に桜丘町を対象に歩き回るときも、求めているのは「桜丘的」ではなく、「的な桜丘」だということになる。これ、大事。
  • まちづくりや地域活性に関わる試みの多くは、「桜丘的な」を求めようとする。つまり、多くの人びとにとっての「桜丘」を描こうとする。それに対して、一人ひとりにとってことなる「桜丘」が偏在すること、ときにはそれが反発し合っているかもしれないことを際立たせるのが「的な桜丘」。
  • あくまでも、人びとのかかわり、コミュニケーションのありようを際立たせる問いの立て方を志向する。(このあたりについては、もう少し整理が必要。)

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外は暑そうなので(まさにピークの時間?)、部屋から出るのがためらわれるものの(クーラーのきいた部屋でおとなしくしていたい)、地図を準備してから外へ。みんなで「桜丘町」の外周(およそ1.7km)を歩いてみた。まずは、フィールドワークの対象となる「桜丘町」のサイズを感じとるためだ。
坂を下って線路沿いの道を、246にぶつかるまで歩く。駅に近づくにつれて、落書きが目立つようになる。界隈の再開発のプロジェクトが動き出すのに先だって、店舗などの移転がすすんでいるようだ。テナントのいないビルは、たくさんのグラフィティで彩られているということか。左折して、246沿いに坂を上る。

 

南平台の交差点を左に曲がってゆるやかなカーブの道を下る。外周を歩いているだけで、なんとなく、このあたりの起伏がわかってくる。もう一度左折して、鶯谷町との境界に沿って歩く。一周するのに、だいたい1時間弱くらいだろうか。あまりにも暑かったせいか、ほとんど写真を撮らなかった。(明日はちゃんと撮る)

ふと、5年ほど前に諏訪さんと一緒にかむろ坂(不動前)界隈を歩いたときのことを思い出した。山手通り沿いには、立派な(比較的あたらしい)建物が並んでいるが、ひと筋内側(目黒川のほう)に入ると、住宅や比較的古そうなビルやアパートが並んでいた。山手通りからは、それが見えなくなっている。

「桜丘町」も、同じように、線路沿いと246沿いには大きな(新しい)ビルが建っている。だから、駅のホーム(あるいは電車から)から「桜丘」と向き合うとき、あるいは246沿いに移動しながら「桜丘」を見るとき、〈向こう側〉について視覚的な手がかりがない。そもそも、線路と246が境界として横たわっているが、〈向こう側〉が見えないことで、なおさら足が遠のくのだろう。ちょうどそれは、城壁のように「桜丘町」を守っているのかもしれない。そして、ひとたびその「壁」の内側に入ってしまえば、喧噪から逃れて、むしろ「渋谷」であることを主張せずにいられる場所なのかもしれない。

ちょっと早めに切り上げて、「タイ料理研究所」へ。🐸(つづく)
 

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都市のイメージ 新装版都市のイメージ 新装版
 
頭の中の地図―メンタルマップ (1981年)

頭の中の地図―メンタルマップ (1981年)

 

*1:グールド, P. ・ホワイト, R.(1981)『メンタルマップ:頭の中の地図』朝倉書店