まちに還すコミュニケーション

場のチカラ プロジェクト|Camp as a participartory mode of learning.

フィールドワーク再考(1)

特別研究プロジェクト Day1

2020年9月17日(木)@SFC

●午前の部

夏季「特別研究プロジェクト」の初日。(執筆中)

 

●午後の部

ぷち演習 1:「2メートル」を身体で感じる
2メートルの紐を持って、3人のグループでキャンパスを歩く。ひさしぶり(あるいは初めて)のキャンパスを味わいながら、2メートルという「距離」について考えてみる。

 

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学校を訪れていない間にSUBWAY上のテラスが開放されていた。テーブル席とビーチチェアのような椅子があり、鴨池全体が見渡せる。心地良い風に吹かれながら、「さて、2mの距離を保ってランチでもするか」とテーブル席に腰掛けようとした。しかし、ベンチの長さがちょうど2mで座れない。どうしようかと悩んだあげく、空気椅子をすることにした。2mを保とうとすると使われないテーブルとベンチ。どうやら今学期は足の筋肉が鍛えられそうだ。

 

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 仕事や買い物などの日常生活の中で意識する「2m」という距離は、ほぼ決まって横方向(地面に水平)のものだろう。人間が縦方向に向かい合うことはなかなかない。
せっかく階段があるので、縦方向の「2m」はどの程度なのか体験してみることにした。『ロミオとジュリエット』の構図を思い出させるような写真が撮れた。
この距離で下から相手を見上げるのは、意外と首が疲れる。会話をするなら、やはり横方向に距離をとる方が楽そうだ。

 

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「よっ!」「お!久しぶり」「進捗どう?」「死んでる!」「がんばれ!」「またな!」
キャンパス内で「よっ友」とすれ違うほんの数秒間で起こるこのやりとりは、SFCにおける風物詩と言える。授業でグループワークを組んで学期終わりにお別れをする、そんな短期的な関係性が多いからだ。τ館前でのよっ友は2m離れていてもあまり違和感がない。そもそも、彼らからすると最初からこれくらいの距離が心地いいのかもしれない。

 

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ここは、メディアセンターの入口前を通り過ぎて、ε館やι館へ向かう道。3人で話しながら歩くときは、真ん中と両端を歩けばちょうど2メートルずつ間隔をとることができる。これまでよりも遠く感じるけれど、真ん中の人はタイルを目印に、両端の人は芝生を目印に、ときどき互いの顔も見ながら歩いてみよう。この道が4メートル以上もあるなんて、考えたこともなかった。2メートルを意識すると、いつもは何気なく歩いている道での再発見がありそう。

 

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授業が終わり、帰り道に友人が「借りたい本があるからメディアセンターに寄っていってもいい?」と言った。
一緒にメディアセンターに入り、二階に上がる。友人が本を選んでいるあいだ、私も気になる本を手に取ったりと各々自由な時間を10分ほど過ごした。軽く立ち読みしていた本を棚に戻そうと顔を上げると、向かい側の本棚にいる友人と不意に目が合った。少女漫画のような淡いシチュエーションに照れ臭さを感じ、思わずクスッと笑いあった。その距離、約2メートル。

 

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ε館の窓に腰掛けて話す時。窓二つ分開けて座れば、2メートルを確保することができる。
4人でもそれ以上でも、窓がある分だけ人の集まる場所になる。窓の枠が座席のように機能することで、2メートル空けつつも”自分の座る場所”になる。

 

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ドコモハウスの靴置き場。普段はずらっとここに靴が並んでいるけど、2m間隔になるとまばらになる。研究会が始まる前に、みんなが靴を脱ぎにここに集まってきて、挨拶するのはこれまでの日常の光景だった。2m間隔が義務になった時、誰かが窓の前で靴を脱いでいたら、次の人は傘立てまで下がらないと2mの距離を確保できない。もし天気が雨だったなら、雨に濡れずに同時に靴を脱げる人数は3人が限度になるのだろうか。

 

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生協で本の試し読みをしたいという想定。上から見ると、この本棚は横長の長方形の形をしていて4面に本が平置きされている。2人以上で見ようとすると、長辺を挟んで両側に立つことでしか2メートルを空けることができない。手前もしくは撮影者から見て反対側の本を読みたいとき、誰もいないことを確認して本を手に取ることが理想。すでに人がいた場合はその人が読み終わるまで待つ必要がある。1カ所で長居しないことが他のお客さんへの配慮となるだろう。

 

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これは、ε館外の通路を歩いている場面である。写真のように、3人が横一列に並んで歩いてしまうと、建物側の1人がちょうど柱にぶつかる事故が起きてしまう。2mの間隔を開け、キャンパス内を歩く際には意識的に縦や斜めのズレを生む必要が出てくると考える。横に並んでいたときにはお互いの顔を見ながら歩くことも容易であったが、縦や斜めになるとそれが困難になる。すると移動の際の些細な会話が減り、心理的距離の離れを招く可能性もあるとこの1枚から感じた。

 

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半年ぶりに登校したSFCは新鮮で、探検すると新たな空間が増えていた。
subwayの屋上も、その中の1つ。
ビーチサイドのように並んだ椅子は、1つの椅子を挟むと、ちょうど2m。
最近よく見る光景。
通行人が見たら、友達なのか、それとも赤の他人なのか、分からない曖昧さは、距離感だけでなく、2人の目線が向き合っていないことも関係しているのだろう。
以前のようには過ごせないキャンパスライフ。
物理的距離は遠ざかってしまっても、心は寄り添えるように、大切な人たちと向き合っていきたい。

 

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「高低差のある2m」を捉えた写真です。SFCでは、キャンパスの様々な場所で友人と出会います。サブウェイへと続くコンクリートの道と芝生の上、という高低差があったとしても、姿をみかければ声をかけることもしばしば。そんな状況を再現してみました。撮影してみて意外だったのは、同じ高さにいる2mよりも高低差がある2mの方が、より「近い」感じがしたということ。同じ2mでも、高さや目線などによって精神的に感じる距離感は異なるということを実感しました。

 

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この写真に写っている2人は2メートルの距離を取っていながら、同じ方向に視線が向いているため、その距離を意識しているのは後ろの人のみという構図である。距離を取る際にお互いが共に物理的な距離を意識することもあれば、この写真のように、1人のみが意識しなければいけない状況も生じ得る。同じ方向に階段を上り、下る際は、後ろに立っている人が積極的に物理的な距離をとっていく必要がある。ちなみにSFCの階段は、9段で2メートル間隔が取れる。

 

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「図らずもソーシャルディスタンス」をキャンパス内で探した。写真はΩ11の教室での1コマ。
この教室で授業があると、大体机の両端の席から埋まっていき、真ん中部分は空いている。たまたま近くに友達が座っていることに気がついても、その距離が2m離れていることも少なくない。
今でこそ2m離れるということを意識しているが、キャンパスでの日常をふりかえってみると、「図らずもソーシャルディスタンス」な瞬間は意外とあるのかもしれない。

 

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キャンパスの前の大階段を上り、メディアセンターを横目にまっすぐ進む。κ、ε、ι、οと名付けられたそれぞれの教室に向かうため、左手の階段か右手のスロープを目指して歩いていく。携帯から顔をぱっと上げると、授業のグルワで一緒だった彼女を発見。
「あ、おはよう!」
「おはよ〜!これから授業?」
「そう!イオタでチャイ語!」
「途中まで一緒に行こ!」
階段を駆け上って彼女と合流。私たちの日常にありふれていた2m。

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窓際の席で授業を受けながら外を眺めていると、窓の横の道を歩きながら何の授業だろうと教室を覗き込んだあの子と目があう。
もともと友達同士だった2人は思わず手を小さく振り合う。そんな友達と不意に目があってヤッホーと手を振り合うようなSFCあるあるをイメージした1枚。教室の外と中、授業を受けている人とそうでない人で、大きく違うようで、2人の距離が2メートル”しか”ないと思うと意外と近く感じる。

 

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3人で2mの紐を持ち、三角形を保ちながらキャンパスを歩いていた。たまたま別のグループに遭遇したので、その様子を撮ってもらった。室内では2mを保ちながら話すことに対して少し窮屈さを感じていたが、外に出て話してみると、あまり感じることはなかった。
オンラインでは毎週顔を合わせていたはずだが、実際に対面で会うのは初めての3人。せっかく2mの距離もとっていることだし、次はお互い前を向いて話をしよう。

 

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横並びに設置された椅子を2m離して座ってみた。もともとの椅子の位置は1.5mぐらいだったから、約50cm離したことになる。同じグループの2人にそこへ座ってもらい、いい構図を探りながらシャッターを切っていると、1人の手から2mの紐が離れた。手から離れた紐の先端は、もう1人の方へと落ち、その紐の先端を拾い上げ渡している。横並びで座った時、お互いが座りながらギリギリ届く距離が2mだった。これが、対面だと立たなければいけなくなってしまう。 

 

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高低差が生じる場合、地面と水平に2メートルの距離をとった場合より、感覚としては物理的距離が近くなったと感じる。一方で、上下関係が生じることによって、上の場所にいる人は下にいる人を自分の意思とは関係なく威圧しまったり、下の場所にいる人は上に座っている人に対して萎縮してしまったりする。上下に座った場合の精神的な距離は、地面から垂直に2メートルとった距離よりも離れているかもしれない。

 

参考