まちに還すコミュニケーション

場のチカラ プロジェクト|Camp as a participartory mode of learning.

研究会シラバス(2023年度秋学期 B1)

B1:場のチカラプロジェクト - 『モビリティーズ』を読みなおす

更新記録

(2023年8月4日追記)

  • 履修にあたっての課題(図解)の説明を、一部書き換えました。

(2023年7月29日追記)

(2023年7月15日追記)

  • 文章を少しだけ加筆・修正しました。
  • 「研究会B1」と「研究会B2」の関係を図解したシラバスをつくりました(近日中に公開します)。

(2023年7月11日追記)下記の日程で「研究会」の補講(補習)をおこなうことになりました。見学・聴講は自由です。
「補講」は終了しました。(7/25)

  • 2023年7月25日(火)13:00〜16:15  デザイン棟B(ドコモハウス)

(2023年7月10日追記)下記の日程で開かれる「2023夏 研究会新歓」(湘南自治会・AIS共催)に参加します。活動内容等について、より具体的に紹介できると思います。
「研究会新歓」は終了しました。(7/20)

  • 2023年7月19日(水)18:15〜20:00  会場(TBA)
  • 2023年7月20日(木)18:15〜20:00 会場(TBA)

(2023年6月23日)シラバス準備中です。随時更新するので、マメにチェックしてください。

大学のオフィシャルサイト(SOL)にある「研究会シラバス」も参照してください。

※加藤研メンバー(2023年6月1日現在):大学院生 8名・学部生 23名

もくじ

0 2023年度秋学期の履修について(B1)

思うところがあって2023年度秋学期は「B型」での開講に変更しましたが、「B1」と「B2」を併せて履修することをおすすめします。※B1、B2をともに履修希望する学生を優先的に受け入れることがあります。→(参考:B2のシラバスはここ
何度かやりとりしながら、履修者を決めたいと思います。ちょっと面倒かもしれませんが、お互いのためです。結局のところは「えらび、えらばれる」という関係が大事だからです。大まかな流れは以下のとおり。

【1】まず、シラバス B1(←このサイトです)をじっくり読む。質問などあったら、23f [at] fklab.net 宛てに連絡する。* f(エフ)は小文字、[at] は@に(以下同様)。
【2】「研究会」を見学してみる(7月は11日が最終回)。あるいは「説明会」に参加してみる。
※いろいろと多忙な時期ですが、時間をやりくりして個別に話すことは可能です。その場合は、 23f [at] fklab.net 宛てにメールを送ってください。
【3】下記の (1) をまとめる。その上で(必要に応じて) (2) やりとりしたいと思います。

(1) 図解:ジョン・アーリ(John Urry)の来歴や業績、研究の方向性などを、わかりやすく図解してください。『モビリティーズ』を読む準備として、アーリの人物像を把握することが目的です。

(ぷちヒント)文献解題は秋学期の取り組みなので、それに先だって人物像を把握するための図解です。正統的には、年譜のようなものかもしれません。「移動の社会学」を意識するならアーリが生涯にわたって、どのような移動経験をしたかという観点もありえます。好きな食べ物とか、趣味活動、家族との関係などがリサーチされていたら面白いでしょう。

たとえば、下記のリンクは出発点として参考になると思います。(もちろん、著作や書評、実際に本を読んでみた感想、アーリにかんする論考など、自由に調べものをしてもかまいません。)

図解するにあたっては、下記に留意してください。

  • A4サイズ(横)1枚にレイアウトすること
  • すべて手書き(手描き)でつくる
    • 写真、図版なども、(既存のものをそのままペーストするのではなく)かならず手描きで作成する
  • 読みやすいようにpdfに書き出す(スキャンする)
  • 提出期限:2023年8月8日(火)22:00 時間厳守
  • 提出方法:メールで 23f [at] fklab.net宛てに送ってください。他のアドレスに送られらたものは、読まない(というより、見落とす)場合があるので注意。
    • かならず、学部、学年、名前、メールアドレスを明記すること。質問・その他についても、同様に23f [at] fklab.net宛てにメールを送ってください。@の前は、23f(エフは小文字です。)
    • pdf形式のファイルを添付してください。※他のファイル形式、スキャンの状態が悪いもの(判読が難しい・見づらいもの)は、対象として扱わないことがあります。
    • メールの件名は、かならず「2023fb1」としてください。期限遅れ、宛先/件名の誤り、内容の不備等がある場合は選考対象にはなりません。

(2) コミュニケーション:可能なかぎり会って話をする機会をつくりたいと考えています。
すすめかた:2023年8月9日(水)以降にメールで連絡します。そのあとは、予定を調整して面談(基本は対面、場合によってはオンライン)します(20〜30分程度)。

1 はじめに

ぼくたちのコミュニケーションは、いつか、どこかで、(誰かと)「共にいる」ことによって成り立ちます。「共にいる」状況を理解しようとするさい、おのずと「移動(移動性)」への興味がわいてきます。 いつ、どこで会うのかを約束する。誰かに会うために、移動する。日常生活におけるさまざまな段取りのなかには、移動にかかわるものがたくさんあります。
もちろん、ネットワーク環境を前提として、ぼくたちの「移動」のありようは大きく変化してきました。たとえばソーシャルメディアにおいては、位置情報はもとより、行動軌跡やアクセス履歴といった情報の活用がすすみ、「会うこと」「いること」の意味を変容させています。

2015年より大学院のプロジェクト科目(現在はアカデミックプロジェクト)として「モバイル・メソッド」を開講しています。本プロジェクトは、Buscher、Urry、Witchgerら(2011)が提案する「モバイル・メソッド」の視座や「ロケーティブ・メディア(locative media)」研究(たとえばWilken & Goggin, 2014)の動向をふまえて、人、モノ、情報、アイデア等の「移動」に関わる調査・研究と、デザインリサーチやソーシャルファブリケーション領域との接続を試みるものです。「モバイル・メソッド」では、おもに地理学、社会学をベースにしながら、人びとが日常のなかで(時には不可避的に)生成し続けている多様な「生活記録(life document)」の理解と、方法論の開発、調査・研究の設計等について探究してきました。

「移動の社会学」を提唱していたジョン・アーリ(1946-2016)が、COVID-19の影響下での日常生活を体験していたら、どのような洞察をくわえていたのか。この研究会では、『モビリティーズ』をもう一度読みなおしながら、これからの人と人とのコミュニケーションのありようについて再考します。

2 『モビリティーズ』を読みなおす

一学期をかけて、『モビリティーズ』を読みすすめていきます。毎週、全員が当該の章を読んで内容を図解し、クラスに持参します。「研究会」の時間には、その内容についてディスカッションし、メンバー間で図解を交換してコメントし合うやり方を試してみるつもりです。 本を読んで、その概要を文章としてまとめる(要約する)のではなく、話の流れや概念どうしの関係などに意識を向けながら、読み込みます。
この一連のプロセスを経て、共通のものの見方・考え方、さらには行動様式が育まれることを期待しています。 これによって、フィールドワークやインタビューをはじめとする調査や社会実践(B2)が円滑にすすむはずです。

図解による各章の要約、コメントの交換をとおした読解のプロセスは、成果物として編纂し、「フィールドワーク展XX」で展示します。 

スケジュール(暫定版)

  1. イントロダクション *すすめかた、課題について
  2. 第1章 社会生活のモバイル化
  3. 第2章 「モバイル」な理論と方法
  4. 第3章 モビリティーズ・パラダイム
  5. 第4章 踏みならされた道、舗装された道
  6. 第5章 「公共」鉄道
  7. 第6章 自動車と道路になじむ
  8. 第7章 飛行機で飛び回る
  9. 第8章 つながる、想像する
  10. 第9章 天国の門、地獄の門
  11. 第10章 ネットワーク
  12. 第11章 人に会う
  13. 第12章 場所 第13章 システムと暗い未来
  14. まとめと講評

3 リンクいろいろ

その他、活動内容や日々の雑感についてはブログや研究室のウェブ、SNSなどで随時紹介しています。

4 資料

たとえば、下記を読んでみてください。

  • 荒井良雄ほか(1996)『都市の空間と時間:生活活動の時間地理学』古今書院
  • ジョン・アーリ(2015)『モビリティーズ:移動の社会学』作品社
  • アンソニー・エリオット+ジョン・アーリ(2016)『モバイルライブス:「移動」が社会を変える』ミネルヴァ書房
  • エリック・クリネンバーグ(2021)『集まる場所が必要だ』英治出版
  • エドワード・ヒュームズ(2016)『「移動」の未来』日経BP