まちに還すコミュニケーション

場のチカラ プロジェクト|Camp as a participartory mode of learning.

お(き)みやげ(2007)

坂出フィールドワーク2|2007年8月4日〜5日*1
 
ここ数年で、「ちいさなメディア論」(2001〜 2002年)や「学習環境とコミュニケーション」(2001〜2002年)で扱ってきたテーマやアプローチが、“コミュニティの調査と地域メディアのデザイン”というかたちで整理され、プロジェクトとして実施できるようになってきました。冊子やポストカード、中吊り広告、ゲームなど、まとめかたはさまざまですが、いずれも、地域のあたらしい理解を創造し(発見・再発見)、関係形成やコミュニケーションの促進に役立つ「ちいさなメディア」です。フィールドへのアクセスの問題から、作成された「ちいさなメディア」の公開・流通というところまでの「しかた」をデザインすることがテーマです。今回、坂出では、1泊 2日で30秒のCM映像をつくるという、ワークショップ型のフィールドワークを実施しました。

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最近は、「おみやげ/おきみやげ」について考えています。「おみやげ」は、旅先などで、持ち帰る(あるいは人に贈る)ために、その土地で手に入れます。記念写真は、その地に足をはこんだという記録になって、家族や友だちに写真を見せることで、その経験を共有することができます。キーホルダーやペナント(最近は見かけない?)を集めていけば、じぶんの旅の足跡を積み重ねてゆくことができるはずです。そして、お菓子のたぐいは、場所の経験を舌に覚えさせてくれます。
フィールドワーカーには、みずからが見たこと・感じたことを「おみやげ」として持ち帰り、それを報告する使命があります。フィールドワークの経験を、再構成し表現しようとすることをつうじて、その土地の生活や文化が「見える」ようになるので、わかりやすく整理して、みんなに「おすそ分け」をすることが重要なのです。
さらに考えてみたいのは、「おきみやげ」です。「おきみやげ」は、なんとなく、前任者が未処理のまま置き去りにした「残務」のようなイメージがあって、もう少しいいことばをさがしたいとは思うのですが、つまりは、「何か」を置いて帰るということです。もちろん、今回のようにその場で「何か」をつくって、文字どおり置いて帰るのが難しい場合は少なくありません。その場合でも、「おきみやげ」について考えてみる必要があります。たとえば、これまでに作成した ポストカードは、あとからかならず調査した地域(コミュニティ)に送り、活用してもらえるようにしてきました。
「中吊りギャラリー」(2007 年7月9日〜20日)は、調査対象となったエリア(および対象となったひとびと)の日常的な場面にできるだけ近づいて、フィールドワークの成果を報告する試みです。フィールドワークの経験は、ぼくたちの手許だけで活用するのではなく、その土地に「還る」必要があるのです。

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さて、以下が坂出で作成された30秒のCM(ビデオ)です。4つのグループが、それぞれの取材をおこない、それぞれのアイデアで編集作業をすすめました。 ぼくたちの「おきみやげ」はどうなるのか…。それは、地域のかたがたにおまかせするしかありません。決して、無責任なことを言うわけではなく、けっきょくは、地元のひとが創らなければダメだと思うからです。そのきっかけづくりになるような、少なくとも話のタネになるような、「何か」を置いて帰ることが、ぼくたちの活動の意味だと考えています。
地域メディアとしてのデザインが優れているならば、「置いて帰る」は、きっと「置いて変える」となり、微力ながらも地域に貢献することになるはずです。
 

「ずっと…」

 

「お∩お∩お=坂出」

 

「坂出は、匂う。」

 

「再発見 坂出」

*1:2007年8月9日のブログより。原文のまま転載(2015年5月3日)