まちに還すコミュニケーション

場のチカラ プロジェクト|Camp as a participartory mode of learning.

マイペンライでゆこう(3)

Day 3:2018年3月10日(土)

3日目。曇り空。ホテルにほど近いフア チャン(Hua Chan)橋のたもと、水上バスの乗り場のすぐ目の前にある屋台で朝ごはん。きょうは、まだ涼しいうちにチャトゥチャック・ウィークエンドマーケット(Chatuchak Weekend Market)に出かけることにした。その名のとおり、週末に開かれるマーケットだ。オオニシさんとノボさんによると、とにかく広くて迷路のように通路が入り組んでいるので、誰もが迷ってしまうのだという。どうやら、10,000店舗以上がひしめいているらしい。
スクンヴィット・ラインに乗って、モーチット(Mo Chit)駅へ。10:00過ぎに着くと、駅は、マーケットに向かう人のにぎわいで、すでに混雑していた。 ぞろぞろと人波に流されながら、マーケットへ。
ぼくたちは、このマーケットで「500バーツ(およそ1,700円)で買い物をする」という即席の「課題」に取り組むことにした。それぞれ、2時間くらい自由に歩き回って買い物をする。単純なことながら、全員の買ったモノを並べてみれば、モノをとおしてタイの事情を理解する手がかりをえられるはずだ。「成果」は、別途まとめて報告したい。

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SOURCE: http://www.chatuchak.org/map/chattuchakmap.jpg

 

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マーケットの雰囲気は、(上手く伝わるかどうかわからないが)アメ横のような感じ。ただし、通路はやっとすれ違うことができるほどだ。雑貨、洋服、かばん、ペット用品など、扱っているモノによって、ゆるやかにゾーニングされているらしいのだが、不意に食堂やフットマッサージの店も現れる。アロマ用のハーブやキャンドルと、タイ料理のスパイスの香りが混ざり合う。中央の広場にある時計台を囲むように区割りされているので、通路が斜めになっていたり、不自然に分岐していたり。「現在位置」は、あっという間にじぶんの頭のなかで想像している地点から離れていってしまう。それぞれの「交差点」には位置を示す看板が吊るしてあるので、ときどき、その写真を撮りながら歩いた。そのこと自体が、あまり役に立たないことは、すぐにわかった。なにより、どこにいるのかに意識をうばわれていると、買い物ができない。そして、買い物に集中していると、もはやどこにいるのかわからなくなる。
ぼくは、500バーツぴったりで買い物を終えることを目指して、あれこれ物色した。これはと思ったときに買っておかないと、また後から同じ店に戻るのは、とても難しいことのように感じられた。やはり、出会いが大切。

屋根はあるが、一部を除いてはエアコンはない。直射日光を浴びることはないものの、夥しい数のモノと人びとの往来で、すぐに暑くなった。こういったマーケットでは、「値切る」のが楽しみだというものの、(ぼくの買い物にかぎっては)値段の交渉の余地はなかった。ノボさんにひと声かけてもらったが、表示されていた値段のまま。聞けば、昔は値札がついていないモノも多かったようだ。だからこそ、客と店主が「落としどころ」をめぐって交渉し、モノの値段を決めていたのだろう。「5つ買えば1つタダで付いてくる」といった類いの値引きはあったが、多くのモノについては値段がはっきりと書かれていた。
ひとまず正午に時計台のところで落ち合うことにして、30分待っても会えない場合には、BTSの駅の改札に集まろう。散り散りになる前に、そう決めていた。時間になったので時計台を目指す。
無事に、時計台で合流。
マーケットの中にある店でお昼を食べて、夕方までは、各自で自由に動くことにした。ぼくは、オオニシさん、ノボさんとともにマーブンクロン・センター(MBK Center)へ。 

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MBK Centerのなかで目指したのは、アニメイト・バンコク店だ。というのも、この春学期に「マンガ」という科目を担当することになり、そのなかで無視できないのが世界のなかの「マンガ」という観点だからだ。もちろん、バンコクに来たのは「キャンプ」のためだが、ホテルのすぐそばのショッピングモールにアニメイトが出店している(出店は2年前)と知り、「視察」しておくことにした。店は、外観も雰囲気も、東京で見かけるアニメイトと同じだった。店の奥では、コスプレのイベントも行われていた。みんなエネルギッシュで、そしてとても楽しそうにしている。日本のマンガやアニメが、タイの若者たちを惹きつけていることが、よくわかった。参考のために、何冊かマンガを購入。

ふたたびみんなと合流して、ジム・トンプソンの家(The Jim Thompson’s House)へ。ここも、ホテルから歩いてすぐの所にある。20分ほどのツアーガイドがあって、家や庭のなかを歩き回った。ジム・トンプソンの商品は、たびたびお土産でもらったことがあるが、家のなかを眺めることで、当時のタイでの暮らしぶりをうかがい知ることができた。



そして、最後はヤワラー通り(Yaowarat Road)へ。ヤワラー通りは、チャイナタウンを代表する通りで、この界隈がヤワラーと呼ばれているらしい。通りにはいくつもの店が並び、路上の屋台には長い行列ができている。このエネルギーは、いったいどこからくるのか。熱気に圧倒されながら、数軒の屋台をハシゴし、最後はシーフードのレストランへ行った。きょうは、朝からよく歩いて、よく食べた一日だった。

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慣れない土地、とりわけ海外に行くと、インプットが過剰気味になる。めずらしい〈モノ・コト〉に、いちいち身体が反応する。それはそれで、よいことだ。少し時間をかけて咀嚼していけば、今後のアウトプットにつながることはまちがいない。緊張もしているし、なにしろ暑い。少しずつ疲れが蓄積されていく。体調のすぐれない学生もいて、そんなとき、じぶんがほとんど役に立たないという現実を味わう。
ヌイは、いち参加者でありながら、細やかに気を遣ってくれていることは見てとれる。オオニシさん、ノボさんは、たまたま同じ時期にバンコクにいるということを知って声をかけたのだが、すっかりお世話になってしまった。ぼくたちの毎日は、いろいろな人の知恵や経験が束ねられて成り立っているのだ。この無力感をもインプットにしよう。そう思った。🍜

(つづく)